日本の中古車は海外で高い評価を受けていますが、実際にどの国で需要が強いのか、なぜ仕向け地の順位が変動するのかまでは把握しきれていない方も多いのではないでしょうか。

中古車輸出の動向を理解するには、国別の輸出台数だけでなく、各国の規制、需要車種、再輸出の構造、為替の影響まであわせて見ることが大切です。

UCARWORLDは、日本の中古車を海外へ販売するプラットフォームを運営しており、海外向け販売の流れや各国の需要傾向、掲載実務に日々触れています。掲載車両の訴求ポイントや、海外向けに確認されやすい情報、問い合わせ時に見られやすい項目など、日々の掲載実務に近い立場から各国の需要傾向を見ています。

本記事では、日本の中古車輸出における国別マーケットの状況を整理しながら、最新の輸出台数ランキングや主要国の特徴、今後の動向を見ていきます。

中古車輸出の国別動向は、単なる市場知識としてだけでなく、どの車種に海外需要が集まりやすいのか、どの地域向けの在庫に可能性があるのかを考えるうえでも参考になります。

最新の統計データから見る日本の中古車輸出トレンド

日本中古車輸出業協同組合(JUMVEA)が公表した2025年の統計によると、年間の中古車輸出台数は170万台を突破し、3年連続で過去最高を更新しました。

コロナ禍からの経済回復が進む新興国を中心に、堅調な需要が継続しています。

海上輸送の安定化も追い風となり、高水準の輸出台数が続いています。

加盟店目線で見ると、輸出台数の増減そのものよりも、どの国向けの需要が伸びているかを把握することが重要です。仕向け地の変化は、国内では動きにくい在庫の見え方を変える要因にもなります。

なお、輸出台数の見え方は集計対象や統計の基準によって差が出ることがあるため、本文では国別動向の傾向を把握する視点を重視して整理しています。

国別中古車輸出台数ランキングTOP10

2025年の国別ランキングでは、アラブ首長国連邦(UAE)が約25万台を記録して2年連続の首位となりました。
第2位はロシアで約18万台、第3位は大幅な成長を見せたタンザニアで約11万台と続きます。
以降の順位には、チリ、ケニア、ニュージーランド、モンゴルなどが名を連ねています。

新車のみならず、中古車の販売台数においても日本車は高いシェアを維持しており、特に上位3カ国への出荷が全体の大きな割合を占めています。
上位国でも現地の法規制や税制の変更により順位が変動するケースがあるため、月次の推移を注視する必要があります。

ランキング上位国を見る際は、単純な台数だけでなく、実需が強い国なのか、再輸出拠点として機能している国なのかまで確認しておくと、需要の背景を読み取りやすくなります。

主要輸出先国のマーケット状況と需要が高い車種

仕向け地ごとに求められる車両の特徴は大きく異なります。
左ハンドル圏や右ハンドル圏といった交通ルールの違いに加え、現地のインフラ事情や所得水準が需要を左右します。
ここでは、ランキング上位を占める国々の具体的なマーケット状況と、現地で好まれている車種の傾向を掘り下げていきます。

1位:アラブ首長国連邦(UAE)- 中東・アフリカへの再輸出拠点としての役割

年間25万台以上を受け入れるUAEは、自国内での消費にとどまらず、巨大な再輸出ハブとしての機能を持っています。
ドバイ周辺のフリーゾーンに集められた車両は、中東諸国やアフリカ東部などの広範な地域へ再び出荷されていきます。
現地では左ハンドルへのコンバージョン技術が発達しており、日本から輸出された右ハンドル車も柔軟に加工されて近隣諸国へ流通します。

高級SUVから実用的な小型セダンまで幅広い車種が流通しており、継続的に注目されやすい仕向け地の一つです。

加盟店側から見ると、UAE向けの需要は“国内販売では評価されにくい車両にも別の販路がある”ことを示す代表例の一つです。

2位:ロシア – 経済制裁による影響と現在の市場動向

ロシアは長年日本車の主要な輸出先ですが、昨今の経済制裁や2025年の自動車リサイクル税引き上げの影響を受け、前年比で台数が減少しました。
現在、車両価格が600万円以上の高級車や排気量1.9リッターを超えるガソリン車、ハイブリッド車、EVは輸出が厳しく制限されています。

そのため、規制の対象外となる1.9リッター以下のコンパクトカーや小型SUVに需要が集中しています。
制限下においても18万台を超える規模を維持しており、寒冷地特有の悪路走破性が高い四輪駆動車は引き続き高い人気を誇ります。

ロシア向けを考える場合は、以前の売れ筋感覚のままではなく、現行の規制条件に合う車種や仕様を細かく確認する必要があります。

3位:タンザニア – 商用車やSUVが人気の東アフリカ市場

タンザニアは2025年に前年比50%以上の急成長を遂げ、約11万台を超える受け入れを記録しました。
資源高による経済発展が著しく、インフラ整備や物流の活発化に伴って商用トラックやバン、悪路に強いSUVへの需要が目立ちます。
同国は東アフリカの周辺内陸国に向けた中継港としての役割も担っており、旺盛な需要は当面継続する見込みです。

かつては南米チリなどが牽引していた新興国向け市場の中で、現在はアフリカ向け輸出の伸びが目立っています。

特に商用利用や悪路走行を前提とした需要が強いため、耐久性や積載性が評価されやすい車種は相性がよい市場といえます。

4位:モンゴル – 右ハンドル車とハイブリッド車への高い需要

モンゴルは左ハンドル国でありながら、輸入車に対する右ハンドル規制が緩いため、日本からそのままの状態での持ち込みが盛んです。
極寒の気候条件に耐えうる耐久性と、ガソリン価格の高騰を背景にしたハイブリッドカーの燃費性能が高く評価されています。
特にトヨタのプリウスは現地で国民車と呼ばれるほどの普及率を誇ります。

一方で、首都ウランバートルでは交通渋滞や大気汚染の対策として、10年落ち以上の古い車両の輸入を段階的に制限する議論が進んでおり、今後は高年式車へのシフトが予想されます。

今後は規制動向によって高年式車へのニーズがさらに強まる可能性もあり、継続的な情報確認が欠かせません。

5位:ニュージーランド – 高品質な日本車が根強い人気を維持

日本と同じ左側通行のニュージーランドは、良質な中古車市場として安定した規模を保っています。
環境意識の高さから排ガス基準や安全基準のハードルが年々上がっており、ESC(横滑り防止装置)の装着義務化などによって高年式車の輸入が中心となっています。

近年はガソリン価格の上昇と政府の環境政策により、ハイブリッド車やEVへの関心が急激に高まりました。
走行距離が少なく整備記録が明確な車両が好まれるため、国内オークションでの落札単価も比較的高額になる傾向が見られます。

こうした市場では、単に車種をそろえるだけでなく、整備履歴や装備情報を正確に伝えられるかどうかも重要になります。

その他注目の国(ケニア、チリ、マレーシアなど)の動向

ケニアは初度登録から8年以内という厳格な年式制限があるものの、経済成長に伴う中間層の拡大により着実な輸入台数を維持しています。
南米のチリもイキケのフリーゾーンを経由した周辺国への供給ルートとして機能し、安定した需要を確保しています。
さらに、2025年に注目を集めたのがスリランカです。

自家用車の輸入規制が解禁されたことで出荷が急増し、年間を通じた大きなトピックとなりました。
このように、各国の法改正や関税引き下げのタイミングを捉えることがビジネス拡大の鍵を握っています。

各国の輸入ルールは固定ではないため、急な制度変更が新たな需要を生むこともあれば、逆に取引条件を厳しくすることもあります。

中古車輸出台数のランキングが変動する主な要因

国別の順位は、相手国の経済状況や為替相場だけでなく、法規制の変更によって毎年大きく変動します。
世界の中古車市場における日本のシェアを維持するためには、これらの外的要因を素早く察知する情報収集力が求められます。
特有の輸入ルールを持つ北米への限定的な動きとは異なり、新興国向けは政策一つで市場規模が一変します。

実際の現場では、こうした外部環境の変化が、問い合わせの集まりやすい車種やオークションで競り合う価格帯にも影響します。

ロシア向け輸出規制の内容とマーケットへのインパクト

ロシア向けの輸出は、国際情勢に伴う制裁措置の影響を直接的に受けています。
特に大排気量車や高級車、環境対応車(ハイブリッド、EV)の輸出が禁止されたことは、日本の関連業者に甚大なインパクトをもたらしました。
さらに、現地政府による輸入時のリサイクル税の度重なる引き上げにより、エンドユーザーの購入コストが高騰しています。

これにより、規制枠内に収まる小排気量クラスへのシフトが鮮明となり、特定のコンパクトカーの相場が局地的に跳ね上がる現象が起きています。

再輸出ハブとしてのUAEの重要性の高まり

中東のUAEが不動の首位を維持している最大の理由は、近隣諸国やアフリカ大陸へ向けた中継貿易の拠点機能が強化されているためです。
直接日本から船便を組むことが難しいアフリカの内陸国などへも、ドバイの港を経由することでスムーズな輸送が可能になります。
現地のバイヤーは資本力に優れており、一度に大量の車両を買い付けます。

紅海の情勢不安など海上ルートのリスクが生じた際にも、UAEを経由する物流網は、中東・アフリカ向け輸出を支える重要なルートになっています。

そのため、最終需要国だけを見て市場を判断するのではなく、中継拠点としての役割まで含めて仕向け地を捉える視点が必要です。

円安が中古車輸出ビジネスに与える追い風

記録的な円安は、海外バイヤーにとって日本の車両を相対的に購入しやすい環境につながっています。
ドルなどの外貨建てで決済されるケースが多いため、同じ外貨額でも日本円ベースでの買い付け予算が増加し、より高い価格での応札が可能になります。
こうした為替面の追い風は、輸出台数の増加を支えた要因の一つと考えられます。

仮に日米の金融政策の転換により円高方向へ振れた場合でも、新興国のモビリティ需要自体は底堅く推移すると見込まれています。

ただし、為替だけで市場を説明できるわけではなく、各国の規制や現地の景気動向によって実際の売れ行きは変わります。

海外需要が国内中古車オークション相場に与える影響

活況を呈する輸出ビジネスは、日本の国内市場にも直接的な影響を及ぼしています。
特にオートオークションにおける取引価格は、海外バイヤーの強力な買い付け圧力によって高値で推移しています。
国内の小売業者は、輸出向けに人気のある車両の仕入れに苦戦を強いられているのが実情です。

国内小売の感覚では価格が合いにくい車両でも、海外需要まで含めて見ると高値が付きやすいケースは珍しくありません。

輸出人気車種(ランドクルーザー等)の国内落札価格が高騰する理由

ランドクルーザーやアルファードなどの特定車種は、海外でのブランド力とステータス性が極めて高く、オークション相場が新車価格を上回るケースも珍しくありません。
外貨の恩恵を受けた海外バイヤーは、国内の小売相場を度外視した高額な予算で入札に参加します。
これにより、国内の販売店がエンドユーザー向けに仕入れようとしても予算が合わず、買い負ける状況が頻発しています。

結果として、輸出向けの「業販ダマ」と国内小売向けの車両価格全体が底上げされ、相場全体の高止まりを招いています。

海外バイヤーが特に重視する車両の状態や条件

海外バイヤーは、車種だけでなく車両のコンディションや細かな条件をシビアに判断します。
特に重視されるのが、過酷な使用環境に耐えうるエンジンやトランスミッションの機関的な健全性です。
外装の小傷よりも、骨格部分にダメージがないかどうかが厳しくチェックされます。

また、サンルーフや本革シート、先進的な安全装備といった特定のメーカーオプションの有無が、落札価格に数十万円の差を生むことも少なくありません。
整備記録簿が完備されている車両は、メーター巻き戻しなどの不正がない証明として高く評価されます。

掲載時には、年式や走行距離だけでなく、修復歴の有無、装備内容、整備履歴などを丁寧に整理して伝えることが、商談の質を左右しやすくなります。

実務では、車種名や年式だけでなく、修復歴の開示の仕方、装備情報の記載精度、整備履歴の有無によって問い合わせ後の商談の進みやすさが変わることもあります。

【地域別】世界の中古車市場の将来性と展望

長期的な視点に立つと、グローバルな中古車需要の重心は少しずつ変化しています。
先進国が環境規制を強化する一方で、新興国ではモビリティの普及が急速に進んでいます。

ここでは、今後の成長が期待される主要なエリアごとの将来予測と、技術革新がもたらす市場の変化について解説します。

将来性が高い市場ほど制度変更の影響も受けやすいため、成長性だけでなく継続性の観点で見ていくことも重要です。

アフリカ市場:人口増加に伴う今後のポテンシャル

地域別統計において輸出台数トップとなったアフリカ圏は、今後の数十年で最大の人口増加が見込まれる巨大市場です。
公共交通機関が未発達な地域が多く、経済発展に伴って個人所有の移動手段へのニーズが爆発的に高まっています。
現在は低価格帯の車両が中心ですが、所得水準の向上に合わせて次第に高年式車やSUVへと需要が移行していくと予想されます。

インフラの整備が進めば、より多くの国で自動車の普及が加速し、長きにわたって日本からの輸出を牽引する中核的なマーケットになるはずです。

アジア・ASEAN市場:経済成長と中間層の拡大

マレーシアやフィリピンなどのアジア・ASEAN地域では、経済の急成長による中間層の拡大が自動車需要を後押ししています。
この地域は単に安い中古車を求めるフェーズを脱し、品質や燃費性能に優れた高年式のエコカーを求める傾向が強まっています。

一部の国では自国の自動車産業を保護するための関税障壁や輸入規制が存在しますが、経済連携協定(EPA)などを通じた関税の撤廃・引き下げの動きもあり、将来的にはよりスムーズで大規模な取引が期待できる有望なエリアです。

EV(電気自動車)中古車の海外需要は今後どうなるか

世界的な脱炭素化の潮流の中で、EV中古車の輸出動向も転換点を迎えています。
現在は充電インフラの整備が遅れている新興国では敬遠されがちですが、ニュージーランドなどの環境先進国では既に活発な取引が行われています。
今後はバッテリーの劣化状態(SOH)を正確に評価する国際基準の普及が鍵となります。

電池の寿命や安全性の不安が払拭され、各国でインフラ整備が進めば、ガソリン車からEVへのシフトが中古車輸出の分野でも確実に波及していくと予測されます。

中古車輸出の国別状況に関するよくある質問

中古車ビジネスを取り巻く状況は日々変化しており、これから参入を検討する方にとっては不明な点も多い領域です。
国ごとの規制や市場の特性に関する基本的な疑問について、要点を絞って解説します。

これから中古車輸出ビジネスを始めるなら、どの国が狙い目ですか?

結論として、成長著しいタンザニアや、輸入規制が解禁されたスリランカなどの新興国が候補になりやすい市場です。
また、安定したハブ機能を持つUAE向けは取引規模が大きく、初心者でも比較的ルートを開拓しやすい傾向にあります。

なぜ高品質な日本の中古車が海外でこれほど人気なのでしょうか?

日本の厳しい車検制度により、定期的なメンテナンスが行き届いているためです。
また、整備された道路環境で走行しているため足回りの傷みが少なく、走行距離が伸びても故障しにくい高い信頼性が評価されています。

各国の輸入規制(年式制限や排気量)はどこで確認できますか?

JETRO(日本貿易振興機構)のウェブサイトや、日本中古車輸出業協同組合(JUMVEA)の統計データで最新情報を確認できます。
また、各国の税関ホームページから直接公式な輸入ルールを調べる手段も有効です。

まとめ

UCARWORLDとしても、国別の需要差や規制の違いを踏まえながら、海外販路を広げたい事業者が車両情報を整理しやすく、伝えやすい掲載環境を整えることが重要だと考えています。

2025年に過去最高を記録した中古車輸出市場は、新興国の経済成長と円安の恩恵を受け、かつてない活況を見せています。
UAEやロシア、タンザニアをはじめとする上位国が圧倒的なボリュームを牽引する一方で、各国の法規制や税制の変更がランキングに急激な変動をもたらすリスクも孕んでいます。

国内のオークション相場にも強い影響を及ぼしている現状を踏まえ、海外の政治経済の動向や関税ルールをリアルタイムで把握する情報収集の仕組みを整えておくことが、今後のビジネス展開ではますます重要になります。

中古車輸出の市場は国ごとに事情が異なるため、台数ランキングだけでなく、規制や需要車種、再輸出の構造まで含めて捉えることが重要です。UCARWORLDとしても、こうした国別動向を踏まえながら、海外販路を広げたい事業者にとって使いやすい掲載環境づくりが大切だと考えています。