茶谷です。今回は「中古車輸出って、実際どんな流れでやるの?」というド基本の話を、現場感を大事にしながら書きます。
輸出ビジネスに興味を持って調べ始めると、「フローはわかるけど、どこで詰まるかわからない」という壁にぶつかる方が多い。私がこれまで1,000社以上のコンサルをしてきて、失敗する会社に共通しているのは、流れを「知っている」つもりで「わかっていない」ことです。
実際のご相談では、「どの書類をどの順番で用意すればいいかわからない」「書類を準備したのに船に間に合わなかった」「仕向国の規制を後から知って通関で引っかかった」といったお悩みをいただくことがあります。特に、輸出実績がまだ少ない段階の販売店様や、国内販売から輸出に切り替えようとしている会社では、こうした「フローを知っているが実務でつまずく」という状況が多く見られます。
ステップごとに「ここが実際の落とし穴」も一緒にお伝えします。最後まで読んでいただければ、現場イメージがぐっと具体的になります。
関連する詳細は、中古車輸出の完全マニュアル|1台目を売るまでの流れ・手続き・必要書類 もご参照ください。
中古車輸出の業務フロー全体像|7つのステップで徹底解説

中古車輸出ビジネスのモデルはシンプルです。国内で仕入れた車両を海外の顧客に販売して、差額で利益を得る。
ただ、「シンプル」と「簡単」は違います。
具体的には、①車両仕入れ → ②輸出手続き・書類準備 → ③輸出前検査 → ④保税地域搬入 → ⑤税関申告・輸出許可 → ⑥船積み → ⑦書類の海外送付、という7つのステップで進みます。
各ステップを飛ばしたり、書類を間違えたりすると、最悪の場合は船積みできずに車が港でストップします。実際にそういう相談を受けたことが何度もあります。順番に丁寧に押さえていきましょう。
ステップ1:最初に見るべきポイントです——輸出する中古車の仕入れと選定
中古車輸出ビジネスの第一歩は、輸出する車両の仕入れです。中古車を仕入れて販売するには「古物商」の許可が必要です。これは輸出であっても同じ。忘れがちですが、許可なしで取引すると古物営業法違反になります。
次に重要なのが「どの国向けに売るか」を先に決めること。仕向国が変われば、求められる車両スペックも変わります。アフリカ向けには耐久性の高いSUVやピックアップトラック、東南アジア向けには燃費の良いコンパクトカーや軽自動車——といった傾向があります。「とりあえず仕入れてから考える」は、利益を圧迫する一番の失敗パターンです。
オークションや買取で輸出先の需要に合う車両を探す
輸出向け車両の主な仕入れ先は業者専用のオートオークションです。全国の会場には多種多様な車両が出品されており、仕向国のニーズに合わせた車両を探しやすい環境があります。買取専門店・ディーラーからの直仕入れも有効で、独自ルートを持つことがスケールのカギになります。
国ごとの好みを把握しておくことが重要です。 たとえば、中東では白・シルバーの清潔感あるカラーが好まれる傾向があり、アフリカでは実用色(白・グレー)が主流です。東南アジアでは内装の綺麗さや装備の充実度が購入決定に影響します。「国内で売れ残った色だから安い」という理由で仕入れても、仕向国でも不人気色だったということが起こります。ここで差が出ます。
車両状態の最終チェックと利益計算を行う
仕入れた車両は、エンジン・足回り・内外装の状態を最終確認します。海外のバイヤーは写真と書類だけで購入判断をすることがほとんどです。だから、正確な状態把握と誠実な情報開示が信頼に直結します。一度でも「説明と違った」となると、次の取引はありません。
同時に、仕入れ価格+陸送費+輸出前検査費用+船賃+通関手数料のすべてを洗い出して、最終的な利益を計算します。この時点で採算が取れないと判断したら、仕入れを見送る判断も必要です。「とりあえず仕入れてしまった」が利益を消す一番の原因です。
ステップ2:ここを間違えると危険です——国内での輸出手続きと必要書類の準備
車両を仕入れたら、次は国内での輸出手続きです。ここが一番「書類ミス」が起きやすいゾーンで、私が相談を受ける中でも「書類不備で船が出てしまった」という事例が実際にありました。
このステップでは主に3つの作業が走ります。①運輸局での輸出抹消仮登録、②船会社へのブッキング(船腹予約)、③税関提出用のインボイス・パッキングリスト作成です。
関連する詳細は、中古車輸出の開業準備チェックリスト|初月の流れを時系列で解説 もご参照ください。
運輸局で「輸出抹消仮登録」を行い証明書を取得する
管轄の運輸支局または自動車検査登録事務所で「輸出抹消仮登録」の手続きを行います。これにより「この車は輸出される」ことが公的に証明され、「輸出抹消仮登録証明書」が交付されます。税関での輸出通関に必要な重要書類です。
必要なものは車検証・ナンバープレート・所有者の印鑑証明書です。通常の一時抹消とは手続きが異なりますので注意してください。
茶谷's POINT 運輸局の手続きで「一時抹消と輸出抹消仮登録は違う」と知らずに一時抹消してしまい、税関で書類が通らなかったという話があります。 手続きの窓口で「輸出のための抹消です」と必ず伝えてください。私が関わったある会社では、担当者が初回にここで詰まって1週間ロスしました。
船会社で輸送スペースの予約(ブッキング)を確定する
仕向国と船積みのタイミングが決まったら、船会社またはその代理店にブッキングを入れます。発行されるブッキングナンバーが、ヤード(保税地域)への搬入時に必要です。RORO船かコンテナ船かの選択は、仕向地・コスト・車両の種類によって変わります。
人気航路はスペースが埋まりやすいので、早めの動きが必須です。「出港1週間前にブッキングしようとしたら満船だった」——これ、よくある話です。
インボイスとパッキングリストを作成する
インボイス(仕入書)は、誰から誰へ、何をいくらで売ったかを示す書類です。税関への輸出申告と輸入国での通関の両方で使います。パッキングリスト(梱包明細書)は貨物の内容を記載した補完書類です。中古車の場合は車台番号・縦横高さのサイズ・重量を正確に記載します。
数字が1桁でも違うと通関が止まります。記載ミスは絶対に避けてください。
日本側の輸出手続きに必要な書類と手順の詳細は、中古車輸出の際の必要書類と手続き(JETRO) も参照ください。
ステップ3:甘く見ないでください——輸出前検査と保税地域への搬入
書類手続きと並行して、車両を船積みする準備も進めます。多くの国が、輸入される中古車に対して「輸出前検査」を義務付けています。この検査に合格しないと、仕向国の港で通関拒否になるリスクがあります。
仕向国指定の輸出前検査(JAAIなど)を受ける
輸出先によっては、日本国内での輸出前検査が必要です。盗難車でないことの確認、年式・走行距離・状態が申告通りかの確認を行います。代表的な検査機関はJAAI(日本自動車査定協会)やJEVIC(日本輸出自動車検査センター)です。国によって指定検査機関が異なるため、仕向国ごとに事前確認が必要です。
検査に合格すると証明書が発行され、これも通関時の提出書類になります。
車両を港の保税地域(ヤード)へ陸送する
検査合格後、車両を船積みする港のヤード(保税地域)へ陸送します。ヤードは輸出許可を待つ貨物を一時保管する場所です。搬入時はブッキングナンバーの提示が必要です。
搬入のカット日に遅れると、予約した船に積めません。 陸送業者への手配は余裕を持って行うことが鉄則です。「陸送が1日遅れて船に乗れなかった」——これも実際に起きます。スケジュール管理が甘い会社は、ここで余計なコストが発生し続けます。
ステップ4:プロはここを見ています——税関への申告と船積み
車両がヤードに搬入されたら、いよいよ税関への輸出申告と船積みです。この通関手続きは専門性が高いため、ほとんどの場合は通関業者(フォワーダー)に代行を依頼します。
税関へ輸出申告を行い輸出許可書を受け取る
フォワーダーを通じて税関に輸出申告を行います。提出書類はインボイス・パッキングリスト・輸出抹消仮登録証明書・船積依頼書(シッピングインストラクション)などです。
税関は書類を審査し、必要に応じて現物検査を行います。問題なければ「輸出許可書」が発行され、正式に輸出が可能になります。
インボイスの価格と実際の取引価格に乖離があると疑義照会が入ります。適正価格を正直に記載することが、結果的にスムーズな通関への近道です。
コンテナ船またはRORO船へ車両を積み込む
輸出許可が下りた車両は船に積み込まれます。
- RORO船:車を自走させて船内に積む方式。手軽でコストが低め
- コンテナ船:車両をコンテナに入れて輸送。高価な車両や複数台まとめる場合に向いている
どちらを選ぶかは仕向地・コスト・車両の種類によって変わります。フォワーダーに相談しながら最適な方法を選んでください。
ステップ5:実はここが大事です——輸出後の書類手続き
船が出た後で終わりではありません。書類を海外の輸入者に届けるまでが輸出者の仕事です。
船会社から船荷証券(B/L)を発行してもらう
船荷証券(Bill of Lading、B/L)は、船会社が貨物を受け取ったことを証明し、指定港で引き渡すことを約束する有価証券です。本船出港後に船会社から発行されます。
輸出者・輸入者・船名・積地・揚地・貨物の詳細が記載された、貨物の所有権を示す最重要書類です。これを紛失すると、輸入者は現地で車両を受け取れません。
B/Lなどの船積書類を海外の輸入者へ送付する
B/Lが出たら、インボイス・輸出抹消仮登録証明書・輸出検査証明書など書類一式を揃えて、DHLやFedExなどの国際クーリエで原本を送付します。
「メールでスキャンを送ればいい」と思っている初心者の方がたまにいますが、原本が必要です。輸入者はこの書類セットで現地の通関手続きをして、港で車両を引き取ります。書類送付が遅れると、仕向国の港での保管コストが発生し、バイヤーとのトラブルに発展します。
関連する詳細は、港に搬入した中古車の注意点|船積み前に絶対やっておくべきこと もご参照ください。
中古車を輸出する前に確認すべき国別の重要規制

ここ、本当に甘く見ている方が多い。規制を確認せずに車両を輸出して、現地で通関できず返送・廃棄処分になるケースが実際にあります。コストだけでなく、バイヤーとの関係も終わります。
仕向国の最新規制は、取引前に必ず確認してください。JETROの輸出入規制データベースも活用できます。
私たちが相談を受ける会社でよくある失敗は、「以前は通関できた」という過去の経験だけを根拠に、規制改定を確認せずに仕入れを進めてしまうことです。規制は年単位で改定されます。特に、アフリカ・中東・東南アジア向けを扱っている会社では、仕向国ごとに最新規制を定期的にチェックする習慣が、取引トラブルを防ぐ最大の予防策です。
年式制限:製造から一定年数以上経過した車両の輸入可否
多くの国が、国内産業保護や環境保護を理由に輸入中古車の製造年を制限しています。
- ケニア:初回登録から8年未満の車両のみ輸入可
- フィリピン:原則として中古車の輸入禁止(一部例外あり)。右ハンドル車はフリーゾーン向け以外は原則禁止
- UAE:比較的緩やか
「数年前に取引できた」という情報が現在も通用するとは限りません。規制は頻繁に改定されます。最新情報で確認するのが鉄則です。
ハンドルの位置:右ハンドル車が輸入禁止となっていないか
日本車は右ハンドルですが、世界では右側通行・左ハンドルの国が多数です。以下の国・地域では右ハンドル車の輸入が禁止または厳しく制限されています。
禁止・制限のある主な国:ウズベキスタン・エジプト・ペルー・コスタリカ・パナマ・パラグアイ・ドミニカ共和国など
一方で、イギリス・オーストラリア・ニュージーランドなど左側通行の国は基本的に問題なし。ただし左側通行であっても、ミャンマーのように右ハンドルを制限している国もあります。「左側通行だから大丈夫」という単純な判断は禁物です。
なお、南アフリカ共和国は商業目的での中古車輸入が実質禁止です。 日本から輸出された車両はダーバン港経由でボツワナ・ジンバブエなど内陸国への再輸出に使われることが多く、「南アフリカへ直接売る」は現状できません。
排ガス基準:仕向国の環境規制に適合しているか
世界的に排ガス規制は強化されています。タイなど一部の国では輸入中古車にも自国の排ガス基準への適合を求めており、基準を満たさない車両は輸入できません。
車両の年式・モデルによって排ガス性能は異なります。「この車種は大丈夫だろう」という経験則は危険です。仕向国ごとに基準を確認してから仕入れを判断してください。
UCARWORLDが選ばれる理由
「業務フローを読んで、全部自分でやるのは大変だな」と感じた方、それが正しい感覚だと思います。
私がこれまで1,000社以上の輸出ビジネスに関わってきた中でわかったのは、「最初の数台を売るまで」が一番つまずきやすいということです。書類ミス・規制の見落とし・バイヤーとのコミュニケーション——これらを全部一人でこなすのは、相当な時間コストがかかります。
UCARWORLDは、その「最初の壁」を一気に下げる仕組みを持っています。
- 世界100か国以上への販路をすでに持っているので、バイヤー探しをゼロから始める必要がない
- SEOに強い掲載環境で、検索から海外バイヤーが来る構造になっている
- 商用車・トラック・建機にも対応しており、「国内では売れ残った在庫の出口」として機能する
- 輸出未経験の販売店でも参入できるよう、サポート体制を整えている
当社では実際に、国内で長期在庫になっていた走行多数のディーゼルトラックをアフリカ向けに出口を作った事例があります。「もう処分するしかない」と思っていた車両が、海外ではまだ需要があったというケースです。
在庫を眠らせているコストより、出口を一本作る方が現実的です。 掲載初月から引き合いが来たという販売店様の声もいただいています。
中古車輸出 業務フローに関するよくある質問
輸出ビジネスを始める前によく聞かれる質問をまとめました。
個人で中古車を輸出することは可能ですか?
はい、可能です。ただし古物商許可の取得・輸出抹消登録・通関手続きなど、一連のフローを自分で行うか輸出代行業者に依頼する必要があります。手続きが煩雑なため、専門業者に委託するケースが大半です。
初心者がつまずきやすいのは「書類の準備順序」と「船のスケジュール管理」です。どちらかが1日でもズレると、次の便まで待つことになります。
中古車輸出ビジネスの利益率はどのくらいですか?
車種・仕向国・為替レートによって変動します。目安として、仕入れ値に対して10〜30%が一般的な範囲です。
ただし「利益率」よりも「在庫回転率」を重視すべきです。長期在庫になるほど固定費がかかり、利益が消えます。回転が速い市場向け・車種に絞ることが利益改善の近道です。
輸出代行業者に依頼するメリットは何ですか?
船会社の選定・輸出前検査の手配・通関書類の作成申告まで専門業者が代行します。輸出者は仕入れと販売に集中できるため、台数を増やしたい段階では外注活用が効率的です。
まとめ
中古車輸出の業務フローは、仕入れから書類送付まで7つのステップで進みます。各ステップで必要な書類を正確に準備し、仕向国ごとの年式制限・ハンドル位置・排ガス基準などの輸入規制を事前に確認することが、トラブルを防ぐ上で絶対に必要です。
特に初心者が詰まりやすいのは「書類の不備」と「規制の見落とし」。どちらも事前に調べておけば防げます。
全体の流れを正確に把握した上で、自社の体制に合った進め方を選んでください。「全部自分でやる」か「専門家・プラットフォームを活用する」かの判断も、早めに決めておくと動きやすくなります。
海外販売を検討中の方はお気軽にご相談ください。
掲載希望の販売店様はお問い合わせください。
在庫車両の輸出可能性診断も承っています。

経歴
- カービューにて中古車輸出プラットフォーム「Tradecarview(現TCV)」を立ち上げ
- 中古車輸出未経験企業を含め、1,000社以上の輸出支援を実施
- 楽天グループにて海外EC展開・越境販売を推進
- 中古車輸出企業「カーペイディーエム」を創業し、豊田通商へ事業売却(M&A)
- 中古車輸出プラットフォームの立ち上げ・海外展開・M&Aを経験
- 現在はUCARWORLD(中古車輸出モール)の運営に携わり、出店企業様のモール上での販売をサポート
