茶谷です。今回は少し地味なテーマですが、これを読み飛ばすと後で痛い目を見ます。
正直に言うと、この記事を書こうと思ったのは、先月もまた同じ相談が来たからです。「台数が増えてきたのに、なぜか現場が回らなくなってきた」——これ、体制を整えないまま走り出した会社に共通する症状です。
毎回思うんですよね。もう少し早く相談してくれれば、って。
実際のご相談では、「何台か売れてきたのに現場が追いつかなくなってきた」「担当者が辞めたら輸出業務が止まった」「バイヤーからのクレームをどこが対応するか決まっていない」といったお悩みをいただくことがあります。
「社内体制」という言葉、ピンとこない方が多いと思います。でも実際の現場では、体制を整えないまま輸出を始めた会社が、3台目・5台目あたりでガタッと崩れるケースを何度も見てきました。
中古車輸出は国内販売と全然違います。言語・法律・商習慣・リスクの種類。何もかもが別物です。この記事では、輸出ビジネスを本格的に動かすための体制づくりと、外部パートナーの使い方を実務ベースでお伝えします。
社内体制の構築が先決です。始める前に知っておくべきこと

中古車輸出は、言語・法律・商習慣が異なる海外バイヤーとの取引が基本です。代金回収のリスク、複雑な貿易書類、国ごとに異なる輸入規制——国内販売には存在しない課題が次々と出てきます。
「やりながら覚える」が通用するのは、最初の1〜2台まで。台数が増えると、誰が何をやるかが不明確なまま業務が回らなくなります。
ここで詰まる会社、本当に多いんです。書類が遅れる、バイヤーへの返信が遅くなる、誰が船積みの確認をするのかが曖昧になる。全部つながっています。
特に、国内販売と並行して輸出を始めた販売店、スタッフが3名以下の少人数体制の会社、副業・兼業で輸出を始めた個人事業主は、役割分担が曖昧なまま台数だけが増えて現場が崩れやすい傾向があります。バイヤーからの問い合わせが重なった瞬間に、誰が何を対応するかが決まっていないと、そこで一気に信用を失います。
事前に全体像を理解して、誰が何をどこまで担当するかを決めておく。これだけで、トラブルの大半は防げます。
関連する詳細は、中古車輸出を始める前の3つの決め事|事業方針・販売国・役割分担 もご参照ください。
ここから始めてください。輸出事業を立ち上げる最初の3ステップ
輸出ビジネスを動かすには、最低限クリアすべき「土台」があります。これがないと、どんなに良い販路を持っていても事業になりません。
順番を間違えると、全部やり直しになることもあります。焦らず、この順番で進めてください。
ステップ1:古物商許可証の取得と営業所の準備
先に知っておいてください。古物商許可がない状態で中古車売買を行うと、法律違反になります。輸出だからといって例外はありません。
許可申請は、営業所の所在地を管轄する警察署を通じて公安委員会に行います。まだ取得していない方は、事業計画の第一歩として即動いてください。これがないと何も始まりません。
「もう動き出してから取得しようと思って…」という方、何人か見てきましたが、その間は完全に足止め状態です。先に動いてください。
ステップ2:オートオークション会員資格を確保する
仕入れの安定供給がなければ商売にならない。シンプルな話です。
全国各地のオートオークションには、海外需要に対応した多様な車両が集まっています。ただし、多くの会場は古物商許可証の提示や保証人を求めます。入会条件を事前に確認して、並行して準備を進めてください。
茶谷's POINT
私がコンサルした会社で、古物商許可証取得後すぐにオークション入会申請をしなかったために、入会審査に2ヶ月近くかかってしまったケースがありました。「許可が取れた、よし次」ではなく、許可申請と並行してオークション側の書類も準備する。これ、地味に重要です。

ステップ3:輸出抹消仮登録など行政手続きの流れを把握する
中古車を輸出する際は「輸出抹消仮登録」が必要です。この手続きで発行される「輸出抹消仮登録証明書」が、通関の際に必要となります。管轄の運輸支局で手続きします。
これ以外にも、船積み手配・通関手続きなど、輸出特有の行政フローが複数あります。「知らなかった」では済まない手続きが多いので、全体像を先に把握しておくことが大切です。
初めて輸出したとき、私自身も「こんなに手続きがあるのか」と思いました。でも一度覚えてしまえばルーティンになります。最初だけが山場です。
関連する詳細は、中古車輸出の開業準備チェックリスト|初月の流れを時系列で解説 もご参照ください。
ここで差が出ます。社内で担当すべき中核業務と役割分担の決め方
「なんとなくみんなでやる」は一番危険なパターンです。誰が責任者かが不明確なまま進むと、ミスが起きたときに誰も対応できなくなります。
これ、言い方を変えると「全員が担当=誰も担当していない」という状態です。輸出ビジネスでこれをやると、絶対にどこかで詰まります。
私たちが相談を受ける会社でよくある失敗は、「仕入れ担当」と「バイヤー対応担当」を同じ一人に任せてしまい、繁忙期に両方が中途半端になることです。仕入れに集中すると返信が遅れ、返信に追われると良い車を競り負ける。どちらも利益に直結する業務なので、早い段階で分けて考えることをおすすめします。
海外バイヤーとの交渉・メール対応を担う人材を配置する
流暢な英語が必須、というわけではありません。翻訳ツールや定型文を使えば、メール対応は十分回せます。それより大事なのは、返信の速さと誠実な対応です。
「えっ、語学力より返信速度?」と思う方もいるかもしれません。実際、問い合わせから24時間以内に返信できているかどうかで、成約率は大きく変わります。海外バイヤーは複数の業者に同時に問い合わせています。返信が遅ければ、別の業者に流れるだけです。
私が支援した会社で、英語がまったく話せないスタッフが翻訳ツールだけを使って月20台以上を成約させているケースがあります。コツは「とにかく早く返す」こと。それだけです。
また、国によって商習慣が異なります。中東系バイヤーは価格交渉を前提として問い合わせてくることが多い。アフリカ系バイヤーはまず信頼関係の構築を重視する傾向があります。「バイヤーがどこの国の人か」を意識して対応を変えるだけで、商談の質が変わります。
仕入れから在庫管理までを担う担当を明確にする
ここが一番、輸出ビジネスの肝です。国内で売れる車と、海外で売れる車は違います。
輸出先の国別に需要のある車種・年式・色・仕様を把握して仕入れる。これができるかどうかで、利益率が大きく変わります。
甘く見ないでください。「とりあえずオークションで安い車を買えばいい」という感覚で参入すると、仕入れた車が全然売れずに在庫が積み上がります。これ、実際によくあるパターンです。
ある会社では、国内で売れ筋のコンパクトカーを大量に仕入れて輸出に回したところ、全然問い合わせが来なかった。当たり前なんですが、向こうが欲しいのはそういう車じゃないんです。
国別の好みも意識してください。シルバーや白は汎用性が高いですが、アフリカ向けでは明るめのカラーが好まれる傾向があります。中東向けは白・シルバーが圧倒的。東南アジアはグレー系人気が高い。「どこに売るか」を決めてから「何を仕入れるか」を考える順番が大切です。
また、仕入れた後の写真撮影・状態確認・掲載作業も、この担当の仕事です。掲載情報の質が問い合わせ数に直結します。
関連する詳細は、海外向け中古車販売で成約へ!在庫ページ作成の必須チェックリスト もご参照ください。
入金確認・消費税還付など経理業務を整備する
経理を後回しにしている会社は、必ずどこかで足元をすくわれます。
輸出取引は消費税が免税になります。これは「消費税を払わなくていい」ではなく、「仕入れ時に支払った消費税を還付してもらえる」という仕組みです。この還付手続きをきちんとやっているかどうかで、手元に残るお金が大きく変わります。
「還付できると知らなかった」という会社、まだまだいます。数十万単位で損をしているケースもあるので、ここは税理士に一度確認することをおすすめします。
インボイスや船荷証券(B/L)などの貿易書類管理も経理担当の重要業務です。書類が揃っていないと還付申請ができません。
全部自社でやろうとしないでください。外部パートナーの賢い使い方
特に事業開始当初は、社内リソースが限られています。専門性が必要な業務を外部に任せることで、自社の強みに集中できます。
「外注=コストがかかる」と考える方もいますが、体制ができていないまま自社でやると、ミスのコストの方がずっと高くつきます。
通関・船積みを丸ごと任せられるフォワーダーの選び方
フォワーダーは、物流の専門家です。通関手続き・船会社の選定と予約・コンテナへの車両積載(バンニング)・海上保険の手配——これらを全部代行してくれます。
初心者がつまずきやすいポイントはここです。「フォワーダーは全部同じ」と思わないこと。中古車輸出の取り扱いに慣れているかどうかで、対応スピードと精度が全然違います。必ず複数社から見積もりを取って、実績・料金・サービス内容を比較してください。
海外バイヤーへの販路拡大を支援する輸出プラットフォームの活用
自力で海外バイヤーをゼロから開拓するのは、相当な時間と労力がかかります。
輸出代行プラットフォームを活用すれば、世界中のバイヤーにアプローチできる集客力を使えます。多言語対応・決済機能が揃ったサービスであれば、海外取引のハードルを大幅に下げられます。
特に事業初期は、自社集客に時間をかけるより、実績があるプラットフォームに乗っかる方が合理的です。
「自分でサイトを作って集客しよう」と考える方もいますが、それで成果が出るまでには最低でも1〜2年かかります。最初からプラットフォームを使う方が、資金も時間も無駄にならない。
翻訳サービスは「重要な場面だけ」賢く使う
無料の翻訳ツールは日常的なやり取りには十分使えます。ただ、契約条件・クレーム対応・価格交渉の細かいニュアンスは、誤訳が大きなトラブルに発展することがあります。
重要な局面ではプロの翻訳サービスを使う。これを社内ルールとして決めておくだけで、言語起因のトラブルはかなり減ります。
「翻訳ツールで送ったメールが失礼な表現になっていて、バイヤーが怒ってしまった」という話、実際にあります。大事な取引相手へのメールくらいはプロに確認してもらう方が安心です。
関連する詳細は、中古車輸出のクレーム対応|返品・破損・不具合の対処法と予防策 もご参照ください。
UCARWORLDが選ばれる理由
UCARWORLDは、日本の中古車販売店が世界へ販売できるグローバルマーケットプレイスです。
私自身がこのサービスを作ったのは、「いい車を持っているのに、売り先がない」という販売店を何社も見てきたからです。
私はトレードカービュー(現TCV)の立ち上げに関わり、1,000社以上の輸出コンサルを経験してきました。その中で分かったことがあります。輸出で失敗する会社の大半は、「売り先がない」のではなく、「どこで何が売れるかを知らない」まま動いているんです。
UCARWORLDでは、国別の市場トレンド・規制情報・人気車種データをもとに、どの国向けに何を仕入れるべきかを具体的にアドバイスできます。「アフリカ向けはディーゼル4WD」「中東は白・シルバー系」「東南アジアはグレー人気」——こういった現場情報を、掲載販売店にフィードバックします。
「そんなの当たり前じゃないか」と思う方もいるかもしれませんが、実際にそこまで教えてくれるプラットフォームは少ないです。数字を持っているから言えることがある、というのが私たちの強みだと思っています。
また、世界100カ国以上の購買意欲の高いバイヤーへ、SEOを活用して直接アプローチしているため、掲載した車両に対してリアルな問い合わせが来る環境が整っています。輸出未経験の事業者でも、貿易実務の進め方から英語対応まで、専門スタッフがサポートします。
過去には、輸出経験ゼロからスタートして月間1,000台の販売実績を達成した事業者も出ています。これは特別な才能があったのではなく、正しいノウハウと販路があったからです。
海外取引で失敗しないための4つのリスク管理体制
ここを省くと、利益より先に損失が来ます。
代金未回収を防ぐ「前払い」ルールを徹底する
海外取引の最大リスクは代金の未回収です。防ぐ方法は単純明快——船積み前に全額前払いを社内ルールにすること。
国際銀行送金(T.T.送金)が一般的です。入金確認が取れるまでは絶対に船積み手続きを進めない、これを鉄則にしてください。
「信頼できるバイヤーだから後払いでいい」という判断は、ある日突然裏切られます。何年も付き合ったバイヤーが急に音信不通になったケースを、私は複数件知っています。ルールは感情で曲げないでください。
関連する詳細は、輸出の代金回収|未回収リスクを防ぐ安全な決済方法と流れ もご参照ください。
輸出先の輸入規制を常にチェックする仕組みを作る
ここを間違えると危険です。輸出先の国によって、年式・ハンドル位置・排ガス基準が厳しく規制されています。これらは予告なく変更されることもあります。
適合しない車両を送ってしまうと、現地で通関できずに返送・破棄になるケースも。費用は全部こちら持ちです。
「規制が変わったなんて知らなかった」では、車両1台分まるまる損になることもあります。JETROや取引フォワーダー、専門プラットフォームで定期的に確認する習慣をつけてください。月に1回でもチェックするかどうかで、大きく違います。
為替変動による損失を最小化する
海外取引では為替の動きが利益に直結します。米ドル建てで契約して円高が進むと、円換算の受取額が減ります。
最もシンプルな対策は、販売価格を日本円建てで提示・決済すること。これで為替リスクを買い手側に移転でき、自社の利益が安定します。
「ドル建ての方が喜ばれる」という声も聞きますが、円建てでも取引に応じてくれるバイヤーはたくさんいます。最初から円建てを基本にした方が、後々ラクです。
輸送中のトラブルに備えて海上保険に必ず加入する
海上輸送中は、悪天候・荷役事故などで車両がダメージを受けるリスクがあります。保険なしで輸送して損害が出たら、全額自己負担です。
貨物海上保険への加入は必須。手配はフォワーダーに依頼できます。「念のため」ではなく「当然の前提」として費用に組み込んでください。
コンテナが傾いて車両が損傷した、という話は珍しくありません。金額的なダメージだけでなく、バイヤーとの信頼関係にも影響します。保険代をケチる理由がないです。
【事例】輸出未経験から月間1,000台の販売実績を達成
過去に、UCARWORLDの茶谷によるコンサル支援のもと、輸出経験がまったくなかった事業者が月間1,000台の中古車販売を達成した実績があります。
最初は1台の輸出から始まりました。体制づくり・フォワーダー選び・バイヤー対応——一つひとつを積み上げて、そこまで成長できた。
「うちには無理」と思う必要はないです。最初から特別な才能があったわけでもない。ノウハウと販路があれば、未経験でも大きくできるということの証明です。
よくある質問
英語が話せるスタッフがいなくても輸出できますか?
できます。輸出プラットフォームの多くは多言語対応しており、定型文を使えば問い合わせ対応から出荷まで日本語ベースで回せます。語学力より、返信の速さと誠実さの方が成約に効きます。
「英語ができないから…」という理由で踏み出せていない方、その心配はほぼ不要です。
最初の1台を輸出するための最低限の準備は?
古物商許可証の取得、仕入れ先(オークション)の確保、車両代金と輸送費をまかなえる運転資金、フォワーダーとの連携——この4つが揃えば動けます。
輸出代行業者とフォワーダーの違いは何ですか?
輸出代行業者は「販売面」の支援——バイヤー集客・販路拡大・商談サポートが主な役割です。フォワーダーは「物流面」の専門家——通関・船積み・保険・書類管理を担います。両者は補完関係にあります。
どちらか一方だけでは足りません。この2つをセットで整えることが、事業を安定して回すための基本です。
UCARWORLDBIZを選ぶ3つの理由
SEOで購買意欲の高い海外バイヤーに直接アプローチ
最新のSEOマーケティングとIT技術を駆使して、世界100カ国以上の購買意欲が高いバイヤーへ直接アプローチします。掲載するだけでなく、検索エンジンを通じて積極的に情報を届けることで、質の高い問い合わせを継続的に獲得できます。
国別市場トレンドをもとに効率的な販売戦略を提案
どの国で何が売れるか、現地の規制・商習慣・消費者の嗜好まで把握しているから、具体的な仕入れアドバイスができます。「売れない在庫を作らない」仕入れ判断をサポートします。
未経験者にも安心のサポート体制
貿易実務の進め方・英語での交渉・国別のトレンド車種選定まで、専門スタッフがコンサルティングします。1,000社以上の支援で積み上げたノウハウが、事業立ち上げから拡大までをバックアップします。
まとめ
中古車輸出を成功させるには、動き出す前の体制づくりが全てです。
古物商許可・仕入れルート・リスク管理体制——整備すべき点は多いですが、全部を自社で抱える必要はありません。物流はフォワーダーへ、販路はプラットフォームへ。外部の専門パートナーを賢く使うことで、自社の強みに集中できます。
「全部やろうとして、全部が中途半端になった」という話、本当によく聞きます。最初から役割を分けて動く会社が、結果的に早く成長しています。
もし「どこから手をつければいいかわからない」という状態なら、まずご相談ください。状況を聞いた上で、何が優先かを一緒に整理します。
海外販売を検討中の方は、お気軽にご相談ください。
掲載希望の販売店様もお問い合わせをお待ちしています。
在庫車両の輸出可能性診断も承っています。

経歴
- カービューにて中古車輸出プラットフォーム「Tradecarview(現TCV)」を立ち上げ
- 中古車輸出未経験企業を含め、1,000社以上の輸出支援を実施
- 楽天グループにて海外EC展開・越境販売を推進
- 中古車輸出企業「カーペイディーエム」を創業し、豊田通商へ事業売却(M&A)
- 中古車輸出プラットフォームの立ち上げ・海外展開・M&Aを経験
- 現在はUCARWORLD(中古車輸出モール)の運営に携わり、出店企業様のモール上での販売をサポート