中古車の輸出ビジネスにおいて、オークション相場の正確な見方を理解することは、適切な買取と利益確保の基盤となります。
単に落札価格を見るだけでなく、輸出にかかる様々な経費や価格変動要因を把握し、最終的な輸出価格から逆算して利益を計算するスキルが求められます。
実際の現場では、「安く仕入れた」つもりが諸経費を積み上げると利益がほぼゼロ、あるいは赤字になってしまうケースが後を絶ちません。とくに輸出初心者が陥りやすいのが、海上運賃や為替変動を「固定値」として計算してしまうミスです。一度の計算ミスが数十万円単位の損失につながることもあります。
本記事では、オークション価格と輸出価格の差を生む要因を分解し、具体的な利益計算の方法までを解説します。
さらに、輸出経験者しか知らない現場のリアルや、よくある失敗パターンも合わせてお伝えします。
中古車輸出における価格決定の基本的な仕組み
中古車輸出における販売価格は、国内の中古車オークションでの落札価格を基礎として決定されます。
この落札価格に、国内の陸送費、船積み関連費用、輸出検査費用、海上運賃といった様々な諸経費が上乗せされます。
さらに、事業を継続するための自社の利益を加えて、最終的な海外バイヤーへ提示する値段が算出されます。
この一連の金額の流れを把握することが、輸出ビジネスの第一歩です。
なお、輸出ビジネスの基本的な手続きや古物商許可の取得方法については、中古車輸出 法人の始め方|古物商許可・消費税還付・オークション入会まで5ステップで解説も合わせてご確認ください。
価格計算と並行して、事業の土台となる手続きを正しく理解することが、安定した利益を生み出す第一歩です。
オークションの落札価格が輸出価格の基礎となる
中古車輸出ビジネスの仕入れは、その大半が全国各地で開催される中古車オークションを通じて行われます。
ここで落札した価格が、すべての費用計算のスタート地点です。
輸出相場は国内の小売相場とは異なり、海外での需要が強く反映されるため、国内では人気のない車種が高値で取引されることも少なくありません。
したがって、このオークション価格の動向を正確に読み解くことが、利益を出すための重要な鍵となります。
実務においては、単に直近の落札価格だけを見るのではなく、数週間から数か月単位での価格推移を確認することが重要です。
同一車種でも、輸出先国の需要変動や季節要因によって価格が上下するため、短期的な高値や安値に惑わされず、一定期間の平均値を基準として仕入れ判断を行うことが安定した利益確保につながります。
「在庫回転率」の観点も見落とせません。
長期在庫になった車両は国内での値下げ圧力がかかりますが、輸出先によっては相場が下がらない国もあります。
在庫期間が長くなる前に海外販路へ出すことで、利益を確保しやすくなるケースがあります。
国内で評価が低い車両でも、海外では需要が高い傾向があるため、早めに輸出を検討することが収益改善の鍵になります。
消費税還付についても確認しておきましょう。
中古車輸出事業者は、輸出売上に対して消費税が免税(ゼロ税率)となるため、仕入れ時に支払った消費税の還付を受けることができます。
この還付額を利益計算に組み込むと実質的な仕入れコストを下げられますが、手続きを怠ると取りこぼしになります。
詳細は税理士または所轄税務署にご確認ください。
輸出価格は「FOB価格」と「CIF価格」で提示される
海外のバイヤーに価格を提示する際は、主に「FOB(Free On Board)」または「CIF(Cost, Insurance and Freight)」という貿易条件が用いられます。
FOB価格は、車両本体価格と日本の港で船に積み込むまでの費用を含んだ価格です。
一方、CIF価格はFOB価格に加えて、輸出先の港までの海上運賃と海上保険料までを含んだ価格を指します。
どちらの条件で見積もりを提示するかによって、売り手側が負担する費用の範囲が変わります。
なお、FOBやCIFといった貿易条件の詳細は、国際商業会議所(ICC)のインコタームズ解説も参考にすると理解が深まります。
また、バイヤーとの取引経験が浅い場合は、どちらの条件を採用するかによって想定外のコスト負担が発生することもあります。
特にCIF条件では、海上運賃や保険料の変動リスクを売り手側が負担するため、見積もり作成時には余裕を持った費用設定を行うことが、予期せぬ損失を防ぐための重要なポイントとなります。
実際の現場では、見積もり時点と船積み時点で海上運賃が数万円単位で変動し、「計算上は黒字のはずが赤字になった」というトラブルが珍しくありません。
CIF条件で取引する場合は、見積もり時の運賃に10〜15%程度のバッファを設けておくことを強くお勧めします。
オークション落札価格に上乗せされる7つの諸経費の内訳
中古車オークションでの落札価格が、そのまま仕入れ原価になるわけではありません。
実際に車両を輸出し、海外のバイヤーに届けるまでには、様々な諸経費が発生します。
利益を正確に計算するためには、これらの見えにくい費用を一つひとつ把握し、価格に転嫁することが不可欠です。
中古車輸出の費用構造や利益の考え方を整理したい場合は、中古車輸出の国別開拓方法|個人の参入向け人気国と最新規制ガイドも参考になります。
ここでは、落札価格に上乗せされる代表的な7つの経費について、その内訳を解説します。
輸出初心者が最も多く失敗するのが「見えない費用」の計上漏れです。
下記の7項目を一つでも見落とすと、計算上の利益が現実と大きくズレます。
費用の全体像を把握しないまま仕入れ判断をすることは、赤字リスクを高める最大の原因です。
1. 車両を港まで運ぶための国内陸送費
オークション会場で落札した車両は、船積みを行う港まで輸送する必要があります。
このときにかかるのが国内陸送費です。
費用は、オークション会場から港までの距離や、利用する陸送業者によって変動します。
例えば、関東のオークション会場から横浜港へ運ぶ場合と、九州の会場から神戸港へ運ぶ場合では料金が大きく異なります。
複数の車両をまとめて輸送することで、1台あたりのコストを抑える工夫も行われます。
さらに、陸送費は繁忙期と閑散期で料金が変動することもあるため、年間を通じた輸送スケジュールの把握も重要です。
特に年度末や大型連休前後は輸送需要が集中しやすく、通常より高い費用が発生するケースもあるため、事前の見積もり確認が欠かせません。
関東圏のオークションから横浜港への陸送は1台あたり1〜2万円程度が相場ですが、遠方になると3〜5万円以上になるケースもあります。
複数台まとめて出荷することで1台あたりのコストを下げられるため、出荷タイミングを合わせる在庫管理も利益管理の一部として意識してください。
2. 船積み手続きを代行する乙仲(おつなか)への手数料
乙仲(おつなか)とは、輸出者(荷主)に代わって、通関手続きや船会社への船積み予約、関連書類の作成など、煩雑な港での手続きを専門に行う業者(海貨業者・フォワーダー)のことです。
輸出業務において乙仲の利用は不可欠であり、その業務に対して支払う手数料も輸出経費の一部となります。
手数料は、手続きの内容や乙仲業者によって異なりますが、貨物の種類や手続きの内容、距離によって大きく異なります。
実務では、乙仲業者との継続的な取引関係を構築することで、手続きの効率化や費用の最適化につながる場合があります。
また、急な船積みスケジュールの変更にも柔軟に対応してもらえる体制を整えることが、安定した輸出業務を継続するための重要な要素となります。
初心者が陥りやすいのが、乙仲業者を価格だけで選んでしまうことです。
安価な業者でも、書類ミスや通関遅延が発生するとバイヤーへの納期遅れやクレームに発展します。
実績と対応スピードを重視して選ぶことが、長期的には利益を守ることにつながります。
3. 輸出先国の基準を満たすための輸出検査費用
輸出する国によっては、輸入を許可する条件として、特定の検査機関による船積み前の検査を義務付けている場合があります。
例えば、アフリカや南米の一部の国では、車両のコンディションや走行距離、安全基準への適合性を証明するための検査が必要です。
この検査にかかる費用も輸出者の負担となり、車両価格に上乗せされるコストの一つです。
検査基準は国ごとに異なるため、仕向け地に応じた対応が求められます。
また、同じ国であっても検査機関の指定や検査内容が変更されることもあるため、最新の検査要件を確認する習慣を持つことが重要です。
検査内容を事前に把握しておくことで、追加修理や再検査による予期せぬ費用増加を防ぐことができます。
検査費用は1台あたり1〜3万円程度が多いですが、国によっては5万円を超えるケースもあります。
検査で不合格になった場合の再検査費用や修理費用は別途発生するため、コンディションが悪い車両の仕入れは慎重に判断することが必要です。
4. 輸出先の港まで船で運ぶための海上運賃
車両を日本の港から海外の港まで船で運ぶための輸送費が海上運賃です。
これは輸出コストの中でも大きな割合を占める費用の一つであり、輸出先の国や地域(仕向け地)、利用する船の種類(車両をそのまま積載するRORO船か、コンテナに収納するコンテナ船か)、そしてその時々の海運市況によって大きく変動します。
特に、近年の世界的な物流の混乱は、海上運賃の高騰や不安定化を招く要因となっています。
海上運賃は国際情勢や燃料価格の影響も受けやすく、短期間で大きく変動する可能性があります。
そのため、複数の船会社やフォワーダーから見積もりを取得し、常に比較検討を行うことが、コスト管理の観点から重要な取り組みとなります。
海上運賃は中東情勢の変化や燃料費高騰によって、数ヶ月で相場が大きく変わるケースがあります。
コロナ禍では運賃が平常時の3〜5倍に跳ね上がった事例もあり、「昨年の運賃で計算していたら大幅な赤字になった」という現場の声は珍しくありません。
過去の実績値をそのまま使い回すことは非常に危険であり、毎回最新の運賃を確認することが利益管理の基本です。
5. 輸送中のトラブルに備える海上保険料
海上輸送中には、天候による船の揺れや荷役作業中の事故など、車両が損傷するリスクが常に伴います。
こうした万が一の事態に備えて加入するのが海上保険です。
保険料は、車両の価格や仕向け地に応じて算出されます。
CIF価格で見積もりを提示する場合は、この海上保険料を売り手側が負担して手配する必要があります。
バイヤーに安心感を与えるためにも、保険の付保は重要な要素です。
海上保険に未加入で輸送中に車両が損傷した場合、損害は全額自己負担になります。保険料は車両価格の0.3〜0.8%程度が一般的ですが、付保しないことで数十万円単位の損失を被るリスクがあります。
コスト削減のために省いてよい費用ではありません。
6. 輸出抹消手続きや書類作成にかかる代行費用
中古車を輸出する際は、国内での登録を一時的に抹消する「輸出抹消仮登録」の手続きが必要です。
この手続きを自分で行うことも可能ですが、多くの場合、行政書士などに代行を依頼します。
また、海外バイヤーとの取引には、インボイス(仕入書)や船荷証券(B/L)といった様々な貿易書類の作成が伴います。
これらの手続きや書類作成にかかる事務手数料や代行費用も、見逃せないコストの一部です。
書類の不備は通関トラブルの最大の原因です。
特にインボイスの記載内容(車両情報・価格・バイヤー情報)にミスがあると、現地での通関が止まりバイヤーへの遅延クレームや追加費用が発生します。
慣れるまでは専門家への代行依頼を強く推奨します。
7. 会社を維持するために必要な自社の利益(マージン)
これまでに挙げた全ての経費を落札価格に上乗せしたものが、輸出にかかる総原価です。
最終的な販売価格は、この総原価に自社の利益を加えて決定されます。
この利益は、事務所の家賃や人件費といった固定費を賄い、事業を継続・成長させていくために不可欠なものです。
適正な利益を確保するためには、ここまでの全てのコストを正確に把握し、市場の相場観と照らし合わせながら値付けを行う必要があります。
利益率の目安として、経験豊富な輸出事業者は1台あたり総原価の10〜20%のマージンを設定するケースが多く見られます。
これを大きく下回ると、為替変動や予期せぬコスト増が発生した際に一気に赤字転落するリスクが高まります。
市場相場が下がっているからといって利益を削りすぎると、事業継続が困難になる点を忘れないでください。
茶谷’S POINT
この7つの諸経費の中で一番重要なのは、海上運賃でしょう。ここが一番大きく、為替の変動などを受けやすい部分です。特に一番安いA社の船でコスト計算をしていたら、A社では予約がとれずに半年後、やむなくB社の船に乗せたら、1㎥あたり30USドルも価格が違い、大幅な赤字になってしまったなんていうことが起こるので、日ごろから船会社とコミュニケーションをとり良好な関係を築くことや、売却時に適切に船賃計算をすることが大切です。

輸出相場を正しく読むために押さえるべき3つの価格変動要因
中古車の輸出相場は常に一定ではなく、様々な要因によって変動します。
オークションでの落札価格の推移を追いかけるだけでは、市場の大きな流れを見誤る可能性があります。
為替レートの動きや各国の法規制、そして海外での特定のモデルに対する需要の変化など、グローバルな視点から相場を動かす要因を理解することが、適切な仕入れ判断とリスク管理につながります。
各国の最新規制情報は、国別 中古車輸出 規制一覧【2026年最新】年式・ハンドル・関税を解説で詳しく確認できます。
規制を知らずに仕入れてしまうケースが後を絶たないため、相場を読む前に規制情報を押さえることを強くお勧めします。
為替レートの変動が仕入れ価格と利益に与える影響
為替レートは中古車輸出ビジネスの収益を直接的に左右する極めて重要な要素です。
円安になると、海外のバイヤーは自国通貨で支払う金額が少なくなるため、日本の自動車が割安に感じられ、購買意欲が高まります。
これにより需要が増え、オークションでの落札価格が上昇する傾向があります。
逆に円高になると、割高感から需要が減退し、相場が下落する可能性があります。
為替の動きは常に注視する必要があります。
円安・円高の影響は、仕入れ価格だけでなく、海外バイヤーへの提示価格にも直接影響します。
例えばドル建てで取引する場合、1ドル=150円から130円に変動するだけで、同じ価格の車両でも売り手の円換算収入が約13%減少します。
為替ヘッジの仕組みや、ドル建て取引と円建て取引のどちらが自社に有利かを事前に検討しておくことが、利益を守る上で重要です。
輸出先国の規制(年式・排気量)による価格の差
多くの国では、環境保護や国内産業の保護を目的として、輸入できる中古車に厳しい規制を設けています。
代表的なのが「年式規制」で、「製造から◯年以内の車両しか輸入できない」といったルールです。
この規制の境目となる年式の車両は、輸出可能な期間が限られるため、需要が集中して価格が高騰する傾向があります。
同様に、排気量に応じて高額な関税が課される国もあり、特定の排気量の車両が敬遠されるなど、各国の規制が直接的に相場を形成します。
例えば東アフリカ諸国では製造後8年以内の車両のみ輸入可能というルールを設けている国があり、規制ギリギリの年式の車両は輸出可能期間が限られるため需要が集中しやすい傾向があります。
また中東向けではディーゼル車が燃料コストの観点から選ばれやすく、同じ車種でも国内評価より現地評価が高くなることがあります。
国別の規制と需要を組み合わせた仕入れ判断が、利益率を高める実践的なアプローチです。
海外で日本車の特定のモデルに対する需要が高まるケース
日本ではあまり人気がなくても、海外の特定の国や地域で絶大な人気を誇る車種が存在します。
例えば、悪路走破性の高いSUVや、高い積載能力と耐久性を持つ商用バン・トラックなどは、新興国を中心に非常に高い需要があります。
また、特定のスポーツカーが映画やゲームの影響で海外の若者から人気を集めることもあります。
こうした海外での局所的な需要の高まりは、国内オークションの相場を大きく押し上げる要因となります。
ハイエースやランドクルーザーは、国内では年式・走行距離が問題になる車両でも、アフリカ・中東・東南アジア向けでは高値がつくケースが多く見られます。
国内で「売れない」と判断する前に、輸出先での需要を確認することが在庫の出口戦略として有効です。
詳しくは輸出車両の人気ランキング!メーカー別Top3の車種を紹介も参照ください。
【実践編】オークション価格から輸出販売価格を算出する計算方法

中古車輸出ビジネスの収益性を確保するためには、感覚的な値付けではなく、論理的なコスト計算に基づいた価格設定が不可欠です。
オークションでの落札価格を起点に、発生する全ての経費を漏れなく積み上げ、そこに自社の利益を上乗せするという一連のプロセスを理解し、実践することが求められます。
ここでは、その基本的な計算式と、具体的な数値を当てはめたシミュレーションを紹介します。
利益計算の基本式:落札価格+諸経費+利益=輸出価格
中古車輸出における価格設定の根幹をなすのが、「落札価格+諸経費+自社の利益=輸出販売価格」という計算式です。
この「諸経費」には、国内陸送費、乙仲手数料、輸出検査費用、海上運賃、保険料、書類作成費用などが含まれます。
この式を正確に運用するためには、まず自社で発生する全てのコスト項目を洗い出し、それぞれの標準的な金額を把握しておくことが重要です。
これにより、一台あたりの損益分岐点が明確になります。
損益分岐点を把握していないと、「台数を売っても利益が出ない」状態に陥ります。
事務所の家賃・人件費・システム費などの固定費を月間出荷台数で割り、1台あたりの固定費負担を把握した上で利益設定を行うことが、事業として成立する価格管理の基本です。
具体例で解説!100万円で落札した車両の輸出価格シミュレーション
車両価格100万円の車を例に、輸出価格を試算します。
まず、オークション落札価格が100万円とします。
これに諸経費として、国内陸送費3万円、乙仲手数料3万円、輸出検査費用2万円、書類作成費用1万円を加えると、船に積み込むまでの総原価(FOBベース)は109万円です。
ここに自社の利益として10万円を乗せると、FOB価格は119万円となります。
さらに、輸出先までの海上運賃10万円と海上保険料1万円を加えた場合、CIF価格は130万円としてバイヤーに提示されます。
上記はあくまで一例です。
実際には仕向け地によって海上運賃が大きく変わります。
東アフリカ向けと東南アジア向けでは数万円の差が出ることもあり、またRORO船とコンテナ船でも1台あたりのコストが異なります。
さらに、消費税還付が適用される場合は仕入れ価格の10%相当が返還されるため、実質的な仕入れ原価が下がり、利益計算の結果が変わる点にも注意してください。
なお、実務の現場では、ここで設定する各費用の金額が固定されているわけではなく、車種や仕向け地、輸送時期によって大きく変動する点に注意が必要です。
例えば、同じ100万円の車両であっても、コンテナ船を利用するかRORO船を利用するかによって海上運賃が変わるほか、輸出先国の混雑状況や港の事情によって追加費用が発生するケースもあります。
そのため、過去の実績値をそのまま当てはめるのではなく、直近の見積もりや船会社からの情報を基に、毎回最新の費用条件を確認することが利益確保の観点から重要になります。
中古車輸出の仕入れで失敗しないための相場確認における注意点
中古車輸出の仕入れは、オークションの相場データを参考にしつつも、いくつかの重要な注意点を押さえる必要があります。
過去の統計データだけを鵜呑みにすると、予期せぬコスト増に見舞われたり、輸出した車両が販売できなくなったりするリスクがあります。
車両の状態を正確に見極める目と、輸出先国の最新情報を常に把握する姿勢が、失敗しない仕入れを実現するために不可欠です。
オークションの相場データはあくまで過去の実績として参考にする
オークションの相場データは、特定の車種が過去にいくらで落札されたかを示す貴重な統計情報ですが、未来の価格を保証するものではありません。
為替レートの急な変動や、輸出先国での突然の規制変更、あるいは日本国内での需要の変化など、相場は常に動いています。
過去のデータはあくまで参考程度と捉え、リアルタイムの市場動向や経済ニュースにも目を配りながら、総合的に仕入れ価格の妥当性を判断することが重要です。
実際の現場では、「半年前の相場で仕入れた在庫が、出荷時点では市場価格が2〜3割下落していた」というケースがあります。
数ヶ月で相場が変わることも珍しくなく、在庫を抱えるほどリスクが高まります。
在庫回転スピードを意識した仕入れ・出荷管理が、損失を最小化する実務的な鍵です。
車両状態の見極めを誤ると予期せぬコストが発生する可能性がある
オークションで安く落札できたとしても、車両の状態が悪ければ、結果的に高くつくことがあります。
出品票に記載のないエンジンの不調や、見落とされがちな下回りの錆、修復歴などが後から発覚した場合、修理費用が追加で発生します。
特に、海外に輸出した後に不具合が見つかると、購入したバイヤーとの間で大きなクレームに発展しかねません。
出品票の情報だけでなく、可能な限り現車確認を行うなど、車両状態の正確な見極めがリスク回避の鍵となります。
バイヤーとのクレームは金銭的な問題に留まらず、長期的な信頼関係の喪失につながります。
「エンジンから異音がする」「走行距離が実態と異なる」といったクレームが発生した場合、修理費や返品輸送費などの実害に加え、次回取引を失うリスクがあります。
1台の利益を守ろうとした結果、10台分の商機を失うことも現実に起こりえます。
輸出先国の最新の輸入規制や税制を常に確認する
輸出先国の法律や税制は、予告なく変更されることがあります。
昨日まで輸出可能だった年式の車が、今日から輸入禁止になるという事態も起こり得ます。
もし、規制が変更されたことを知らずに車両を仕入れて船積みしてしまうと、現地の港で通関できず、日本へ送り返すか、最悪の場合は現地で廃棄せざるを得なくなります。
このような事態を避けるため、JETRO(日本貿易振興機構)の情報や現地のパートナーからの情報を基に、常に最新の規制内容を確認する習慣が不可欠です。
JETROのほか、各国大使館・商工会議所・現地エージェントからの情報収集も有効です。
特に規制が頻繁に変わる新興国向けの輸出では、船積み直前の規制確認を徹底することが、数十万円〜数百万円単位の損失を防ぐことにつながります。
中古車輸出相場に関するよくある質問
中古車輸出の相場に関して、これからビジネスを始める方や、より深く理解したい方が抱きやすい疑問について解説します。
Q1. 輸出で特に利益を出しやすい車種に傾向はありますか?
耐久性の高いSUVや商用バン、海外で根強い人気のある特定のスポーツカーなどが利益を出しやすい傾向にあります。
ただし、国や時期によって利益を保証するわけではありません。
輸出先の市場ニーズを継続的に調査することが重要です。
ハイエース・ランドクルーザー・アルファードはアフリカ・中東・東南アジアを中心に安定した需要があります。
一方で、国内では人気のミニバンでも、左ハンドル規制がある国では売りにくいケースもあります。
車種の人気だけでなく、仕向け地との組み合わせで判断することが収益最大化のポイントです。
Q2. 個人で業者向けオークションの相場データを確認する方法はありますか?
個人が直接、業者向けオークションの相場データを確認することは困難です。
これらのオークションは会員制であり、参加やデータの閲覧には会員資格が必要です。
相場を知るためには、オークション代行や輸出を専門とする業者に問い合わせるか、必要な要件を満たして会員になる必要があります。
オークション会員資格を取得するには、古物商許可証の取得が前提となります。
資格取得の手順については中古車輸出 法人の始め方を参照ください。
Q3. 見積もりでよく見るFOB価格とCIF価格の具体的な違いは何ですか?
費用負担と責任範囲の違いです。
FOB価格は、売り手が車両を日本の港で船に積み込むまでの費用と責任を負う価格です。
一方、CIF価格はFOBの内容に加え、輸出先の港に到着するまでの海上運賃と海上保険料も売り手が負担し、その費用を含んだ価格を指します。
バイヤーによってはFOB条件のみ希望するケースも多く、どちらで取引するかは事前の合意が必要です。
初めての取引先にはFOBを提案し、慣れてからCIFに移行するアプローチが、リスク管理の観点で無難です。
まとめ

中古車輸出の相場を正しく理解するには、オークションの落札価格を始点として、それに付随する国内陸送費、乙仲手数料、海上運賃などの諸経費を正確に積み上げて原価を算出することが不可欠です。
加えて、為替レートの変動や輸出先国の規制といった外部要因が価格に与える影響も常に考慮に入れなければなりません。
これらの要素を総合的に分析し、自社の利益を乗せた上で最終的な輸出価格を決定するプロセスが、中古車輸出ビジネスを成功に導きます。
相場の読み方は一度学べば終わりではなく、市場・為替・規制の変化に合わせて継続的なアップデートが必要です。プロの輸出事業者ほど、価格計算の精度と情報収集の習慣を大切にしています。
UCWORLDが選ばれる理由
中古車輸出の相場計算は、知識だけでは不十分です。実際の現場では「計算上は利益が出るはずだった」のに、諸経費の見落としや輸出先とのミスマッチで赤字になるケースが後を絶ちません。
UCWORLDは、世界100カ国以上の海外バイヤーネットワークを持つグローバル中古車マーケットプレイスです。
プラットフォームを立ち上げた茶谷信明は、TCV(旧Tradecarview)の立ち上げに関与し、1,000社以上の中古車輸出支援を行ってきた実務経験者です。
机上論ではなく現場で積み上げたノウハウをベースに、掲載企業の海外販売を支援しています。
「長期在庫になって国内では値下げするしかない」という車両も、輸出先によっては高値がつくケースがあります。
国内で動かない在庫が海外で予想以上の値段で売れたという声は、実際に多く届いています。
国内での評価が低い車両でも、仕向け地次第では利益が大きく変わることがあります。
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初めて海外販売に取り組む事業者でも、サポート体制が整っているため安心してスタートできます。
輸出の相場感を把握しながら、まずは在庫車両の可能性を診断してみることをお勧めします。
海外販売を検討中の方はお気軽にご相談ください。
掲載希望の販売店様はお問い合わせからご連絡ください。
在庫車両の輸出可能性診断も承っています。

経歴
- カービューにて中古車輸出プラットフォーム「Tradecarview(現TCV)」を立ち上げ
- 中古車輸出未経験企業を含め、1,000社以上の輸出支援を実施
- 楽天グループにて海外EC展開・越境販売を推進
- 中古車輸出企業「カーペイディーエム」を創業し、豊田通商へ事業売却(M&A)
- 中古車輸出プラットフォームの立ち上げ・海外展開・M&A実績を持つ。
- これまで1,000社以上の中古車輸出を支援。