こんにちは、茶谷です。
「RORO船とコンテナ、結局どっちが得なんですか?」
この質問、輸出相談の中でもトップクラスに多いです。今日はこれについて、遠慮なく本音でお話しします。
中古車を海外へ輸出する際の輸送方法には、主に「RORO船」と「コンテナ輸送」の2種類があります。それぞれ仕組みもコストも安全性もまったく違うので、輸送する台数・車種・目的地によって正解が変わってきます。
「なんとなくRORO船が安いって聞いたから」で決めてしまうと、後で痛い目を見ることもあります。今日は現場の実務目線で、両方のメリット・デメリットをはっきりお伝えします。
中古車輸出の基礎知識|RORO船とコンテナ輸送の仕組みを解説
中古車輸出では、まず国内の港まで車両を陸送し、そこから船積みして海外の目的地へ運びます。この船積みの方法が、RORO船とコンテナ輸送で大きく異なります。
RORO船は車両が自ら船内へ走り込むのに対し、コンテナ輸送は車両を「貨物」として箱に詰めてから船に載せるイメージです。ここを混同したまま見積もりを取ると、想定していた金額と実際の請求額がズレることがよくあります。
中古車輸出を始めるまでの流れや手続きについては、 中古車輸出の完全マニュアルの記事も合わせて読んでおくと全体像がつかみやすいです。
知ってますか?RORO船は車両が自走して船に乗り込む輸送方法です
RORO船は「Roll-on/Roll-off船」の略称で、船内に乗り降りするためのスロープを備えた自動車専用の運搬船です。仕組みはフェリーに似ていて、港に到着した車両をドライバーが運転してそのまま船内に乗り込ませ、指定の場所に駐車・固縛します。
船内は巨大な立体駐車場のような多層構造になっていて、効率的に多くの車両を積載できます。荷降ろしのときも同じく、自走して船外へ移動させるだけです。
コンテナ輸送とは?車両をコンテナに格納して運ぶ輸送方法です
コンテナ輸送は、20フィートや40フィートといった国際規格のコンテナに車両を収納し、コンテナ船で輸送する方法です。まず港のヤードや専門施設で、車両をコンテナ内に慎重に搬入し、動かないように専用の器具で固定する「バンニング」という作業を行います。その後、コンテナはクレーンでコンテナ船に積み込まれ、他のさまざまな貨物と一緒に目的地まで運ばれます。
現地に到着後は、逆の手順でコンテナから車両を取り出します。
意外に強いです|中古車輸出でRORO船を利用するメリット

RORO船を利用する最大のメリットは、手軽さとコスト面にあります。特に1台から数台といった少ない台数を輸送する場合には、コンテナ輸送に比べて手続きがシンプルで、費用を抑えやすい傾向があります。
1台あたりの輸送費用を安く抑えやすいです
RORO船は、コンテナへの積み込み作業やそのための専門費用が不要です。車両をそのまま船に積み込むため、1台あたりの輸送コストを比較的安価に設定できます。個人で1台だけ輸出する場合や、事業として少量の車両を送る際には、費用面でのメリットが大きくなります。
「じゃあ、みんなRORO船でいいんじゃないの?」と思いますよね。実はそう単純でもないんです。この後お伝えする注意点とセットで考える必要があります。
積み込みや荷降ろしにかかる時間が短いです
車両が自走して船に乗り降りするため、荷役作業が非常にスピーディーです。コンテナ輸送のように、クレーンでコンテナを一つずつ吊り上げて積み降ろしする時間に比べ、多数の車両を短時間で処理できます。
これにより港での滞在時間が短縮され、全体の輸送スケジュールが早まる可能性があります。特に大量の車両を一度に輸送する際には、この荷役効率の高さが顕著になります。
コンテナへの固定作業(バンニング)が不要です
RORO船では、車両をコンテナに固定するバンニング作業が一切不要です。専門業者にバンニングを依頼する手間やスケジュール調整、追加費用が発生しません。輸出者は車両を港の指定場所に持ち込むだけでよく、船会社が船内での固縛作業を行うため、手続きが非常にシンプルになります。
茶谷's POINT: バンニング費用は業者やコンテナサイズにもよりますが、1本あたり数万円単位で発生することが珍しくありません。これが「積んで終わり」のRORO船との体感差になります。台数が少ないほど、この差は1台あたりのコストに重くのしかかってきます。


ここで差が出ます|中古車輸出でRORO船を利用する際の注意点
RORO船にはコスト面でのメリットがある一方、安全性や利便性の面でいくつか注意すべき点があります。特に車両やパーツの盗難リスクは、コンテナ輸送と比較した場合の大きなデメリットです。
車両やパーツが盗難に遭うリスクがあります
RORO船の船内では、車両がむき出しの状態で駐車されます。多くの作業員が出入りするため、カーステレオやナビゲーション、エアバッグといった内装品や、積んでいると誤解されたスペアタイヤなどが盗難に遭うリスクが、コンテナ輸送に比べて高くなります。
特に高価なパーツが装備されている車両や、盗難が多発する仕向け地に送る場合は注意が必要な貨物です。
航路や出港スケジュールが限られる場合があります
RORO船の就航港や便数は、輸送ルートや船舶会社によって異なります。特定のルートでは週に複数便運航されている場合もあり、例えばRKK LINEのRORO船は海外航路で週1回運航されており、博多・鹿児島・那覇・宮古・石垣・台湾(高雄)の6港に定期的に寄港しています。また志布志港では、東京・阪神・沖縄方面に週16便のRORO船が就航しています。
そのため、輸送を希望するタイミングや目的地によっては、事前に航路やスケジュールを確認することが重要です。ここを確認せずに「安いから」だけでRORO船を選ぶと、出港待ちで在庫が滞留し、資金繰りを圧迫することがあります。
スペアパーツなどを車内に積んで輸送することはできません
RORO船での輸送は、原則として車両本体のみが対象です。契約上、車内にスペアパーツやタイヤ、個人的な荷物などを積んで一緒に輸送することは基本的に認められていません。
もし無断で他の貨物を積載していた場合、追加料金を請求されたり、輸送を拒否されたりする可能性があります。車両以外の貨物も送りたい場合は、別の輸送手段を検討する必要があります。
甘く見ないでください|中古車輸出でコンテナ輸送を利用するメリット
コンテナ輸送は、車両を堅牢なコンテナに格納することで得られる高い安全性が最大のメリットです。また、コンテナ船は世界の主要港を結んで頻繁に運航されているため、輸送スケジュールの柔軟性も魅力です。
盗難や塩害から車両を安全に保護できます
コンテナ輸送では、車両をコンテナの中に密閉し、封印をしてから輸送します。目的地に到着して税関の許可が出るまでコンテナが開けられることはないため、輸送中の盗難リスクを限りなく低くできます。
また、コンテナが風雨や潮風から車両を保護するため、塗装の劣化や金属部品の錆につながる塩害の心配もありません。高価な車両や新車同様のコンディションを保ちたい場合に最適です。
スペアパーツや他の荷物を一緒に輸送できます
コンテナ内の空きスペースを有効活用し、車両と一緒にスペアパーツや自動車関連商品、あるいは全く別の貨物を同梱して輸送できます。これにより、輸送コストを効率化したり、ビジネスの機会を広げたりすることが可能です。
例えば、中古車と中古エンジン、タイヤなどをまとめて輸出するケースで広く利用されています。ただし、貨物の内容によっては事前の申告や特別な梱包が必要になるので、そこは業者としっかりすり合わせておいてください。
主要港への航路が多くスケジュールを調整しやすいです
コンテナ船は世界中の物流の根幹を担っており、RORO船に比べて圧倒的に多くの港へ就航しています。主要な航路では運航頻度も高いため、輸出のタイミングを柔軟に調整しやすいというメリットがあります。
RORO船の寄港がない地域へもコンテナ輸送なら対応できる場合が多く、幅広い仕向け地への輸出が可能になります。
知ってますか?中古車輸出でコンテナ輸送を利用する際の注意点
コンテナ輸送は安全性や柔軟性に優れた輸送方法ですが、費用面と事前準備の手間はしっかり見ておく必要があります。
1台のみの輸送ではコストが割高になる傾向があります
コンテナ輸送は、コンテナ1本単位での料金体系が基本です。そのため、1台の車両を輸送するためにコンテナを1本チャーターすると、スペースに無駄が生じ、1台あたりの輸送コストはRORO船に比べて割高になることがほとんどです。
このコストの問題が、個人で1台だけ輸出する場合などにコンテナ輸送が選ばれにくい主な理由です。
コンテナへの積み込み作業と費用が別途発生します
コンテナ輸送では、車両をコンテナ内に安全に積み込み、輸送中に動かないようラッシングベルトなどで固定する「バンニング」という専門作業が必須です。この作業は専門の業者に依頼する必要があり、そのための作業費用が輸送コストに上乗せされます。
また、業者への車両の持ち込みや引き取りといった手間も発生します。初心者がここでつまずきやすいのは、見積もり時にバンニング費用が含まれているかどうかを確認し忘れることです。総額で比較する癖をつけてください。
輸送前にガソリンを抜くなどの準備が必要です
安全規則上、コンテナで車両を輸送する際には、引火のリスクを避けるためにガソリンを少量まで抜く必要があります。また、バッテリーの端子を外すといった措置が求められる場合もあります。
これらの事前準備を輸出者自身、あるいは依頼した業者が行う手間がかかります。RORO船のように、そのままの状態で船積みすることはできません。
結論、ここから始めるのが現実的です|あなたに最適なのはどっち?
RORO船とコンテナ輸送のどちらを選ぶべきかは、最終的に何を優先するかによって決まります。輸送コスト、車両の安全性、輸出する台数や車種、そして仕向け地の状況などを総合的に考慮して判断してください。
輸送コストを最優先で安くしたいならRORO船です
一般的な中古車を1台だけ、あるいは少数をできるだけ安く輸出したい場合は、RORO船が第一の選択肢となります。バンニング費用などがかからず、1台あたりの輸送コストを最も安く抑えられる可能性が高いです。
特に盗難リスクが比較的低い仕向け地で、車両の状態に神経質になる必要がないのであれば、コストメリットの大きいRORO船が合理的です。
高級車や希少車を安全に届けたいならコンテナ輸送です
盗難や輸送中の損傷、塩害などのリスクを徹底的に避けたい場合は、コンテナ輸送を選ぶべきです。フェラーリのような高級スポーツカー、クラシックカーなどの希少車、あるいは新車同様のきれいな状態で届けたい車両の輸送に適しています。
RORO船に比べてコストはかかりますが、車両の価値を守るための保険と考えるのが現実的です。
複数台をまとめて輸出するならコンテナ輸送が割安なことも
複数台の中古車を一度に輸出する場合、コンテナ輸送の方が1台あたりのコストでRORO船より安くなることがあります。例えば、40フィートハイキューブコンテナには、一般的な乗用車で3〜4台、コンパクトカーであれば車種によって5〜6台程度積載できるケースもあります。
コンテナ1本分の料金を積載台数で割ることで、1台あたりの輸送費が逆転するのです。多くのコンテナ船が利用できるため、スケジュール管理もしやすくなります。在庫回転率を上げたい事業者にとっては、コンテナ輸送でまとめて出す運用のほうが、結果的に利益率が安定するケースをよく見ます。
中古車輸出の利益率については、中古車輸出の利益率の記事も参考にしてください。
自走できない事故車やEVを輸出する場合の選択肢
自走できない車両(エンジンがかからない事故車や故障車など)は、RORO船で輸送することができません。これらの車両は、フォークリフトやクレーンを使用してコンテナに積み込むコンテナ輸送などの選択肢を検討することになります。
また、電気自動車(EV)の輸送に関しては、バッテリーの取り扱いについて船会社ごとに特別な規定が設けられている場合があります。国内の陸送手配と合わせて、事前に輸送業者への確認が不可欠です。
プロはここを見ています|仕向け国ごとの車種・色の好みも輸送方法選びに関わってきます
輸送方法の話とセットで、実はもう一つ見落とされがちなポイントがあります。それが「仕向け国ごとの車種・色の好み」です。
「え、輸送方法の話なのに車種の好みが関係あるの?」と思われるかもしれませんが、これは密接につながっています。国によって好まれる車種・ボディカラー・グレードはまったく違います。例えば、盗難リスクの高い地域向けに人気カラーの高年式車を送るなら、多少コストをかけてでもコンテナ輸送で安全に届けたほうが、結果的にクレームや損失を防げます。逆に、現地で大衆的に流通している普及グレードの車を大量にさばく場合は、RORO船でコストを抑えて回転数を上げるほうが利益に直結します。
つまり「その国でどんな車がどう評価されているか」を先に把握しておかないと、輸送方法の選択そのものが的外れになってしまうということです。仕向け国の需要データや人気車種の傾向は、輸出前の情報収集の段階で必ず確認しておいてください。
UCARWORLDが選ばれる理由
ここまで読んで「結局、自分の場合はどっちがいいんだろう」と迷った社長も多いと思います。正直に言うと、これは車種・仕向け地・台数の組み合わせで毎回答えが変わるので、一般論だけでは判断しきれません。
UCARWORLDでは、世界100か国以上への販路をもとに、車両ごとに「どの輸送方法が利益的に合理的か」を実務ベースで判断しています。実際に、あるお客様は1台ずつRORO船で送っていた在庫を、まとめてコンテナ輸送に切り替えたことで、1台あたりの輸送コストを2割ほど圧縮できた事例があります。逆に、盗難リスクの低い仕向け地の普及車をコンテナに切り替えて、かえってコスト増になってしまった失敗事例も見てきました。
私は楽天での越境EC運営やトレードカービュー(現TCV)の立ち上げに関わり、1,000社以上への輸出コンサルという実務経験をベースに、机上論ではなく現場で起きていることをもとにアドバイスしています。
UCARWORLDでは長期在庫の出口戦略や商用車・トラック・建機の輸出にも対応しているので、輸送方法で迷っている段階からご相談いただけます。
RORO船とコンテナ輸送の違い|よくある質問
Q1. RORO船の盗難リスクを減らすための対策はありますか?
完全な対策は難しいですが、リスクを軽減することは可能です。具体的には、ナビやオーディオ、ETC車載器など後付けの貴重品は事前に取り外しておくことが有効です。また、信頼性の高い船会社やフォワーダーを選び、万一の事態に備えて貨物海上保険に加入しておくことを強く推奨します。
Q2. アフリカ向けの輸出ではどちらの輸送方法が一般的ですか?
仕向け地の港湾設備や制度によりますが、多くのアフリカ諸国ではRORO船による中古車輸入が主流です。しかし、盗難リスクが高いとされる地域や、車両と一緒にスペアパーツなどを送りたいビジネス用途では、安全性を重視してコンテナ輸送が選択されるケースも増えています。
また、アフリカ向けの自動車輸出は近年台数が伸びており、ジェトロの分析でも需要動向が報告されています。国ごとに好まれる車種やボディカラーの傾向も異なるため、輸送方法だけでなく、現地の需要データも合わせて確認しておくことをおすすめします。
まとめ
中古車輸出における輸送手段として、RORO船は「手軽さ」と「1台あたりのコストの安さ」に、コンテナ輸送は「安全性」と「複数台輸送時の経済性・柔軟性」にそれぞれ強みがあります。
一般的な中古車を1台だけ安く送りたいならRORO船、高級車や複数台、あるいはパーツも一緒に安全に届けたいならコンテナ輸送が適しています。最終的な選択は、輸送する車両の価値、台数、目的地、そして仕向け国での車種の需要によって変わってきます。
具体的な計画を進める際には、専門知識を持つ輸送業者に相談し、自身の条件に最適な方法を確認することをおすすめします。
海外販売を検討中の方は、お気軽にご相談ください。掲載希望の販売店様はお問い合わせください。在庫車両の輸出可能性診断も承っています。

経歴
- カービューにて中古車輸出プラットフォーム「Tradecarview(現TCV)」を立ち上げ
- 中古車輸出未経験企業を含め、1,000社以上の輸出支援を実施
- 楽天グループにて海外EC展開・越境販売を推進
- 中古車輸出企業「カーペイディーエム」を創業し、豊田通商へ事業売却(M&A)
- 中古車輸出プラットフォームの立ち上げ・海外展開・M&Aを経験
- 現在はUCARWORLD(中古車輸出モール)の運営に携わり、出店企業様のモール上での販売をサポート