日本から世界へ輸出される中古車は、国別の需要や規制に応じて多様な販路が確立されています。2023年の統計を見ても、多くの中古車が海外へと渡っています。特にカリブ諸国は、日本と同じ右ハンドル・左側通行の国が多く、日本の中古車にとって親和性の高い市場です。しかし、国ごとに厳しい年式規制が存在するため、正確な情報を基にした戦略が求められます。
こんにちは、茶谷です。今回は「カリブ諸国」について、狙い目度合いを本音でお伝えします。アフリカや中東ほど話題にならない市場ですが、実は知っている業者だけが利益を出している、ちょっとした穴場です。順番に説明しますね。

カリブ諸国、実は「狙い目」な理由があります
カリブ諸国が中古車輸出の狙い目とされるのは、アフリカ向けやロシア向けといった大規模市場とは異なる特性を持つためです。アフリカやモンゴルなどの市場では大手輸出業者が激しい競争を繰り広げていますが、カリブ諸国は市場規模が比較的小さいため、中小規模の事業者でも参入しやすい環境があります。
「アフリカもロシアも大手が強すぎて入り込めない…」という相談、実は結構多いんです。カリブはその逆で、1回の取引台数が少ない分、大手が本気を出しにくい市場です。だからこそ、月に数台〜十数台をコツコツ動かせる中小業者にはちょうどいいサイズ感なんですよね。
右ハンドル・左側通行の国が多い、これが強みです
カリブ諸国には、ジャマイカ、トリニダード・トバゴ、バハマ、バルバドスなど、イギリス連邦に加盟している国が多く存在します。これらの国々の中には、日本と同じく右ハンドル・左側通行を採用している国もあります。例えば、ジャマイカやバハマは左側通行です。これにより、日本の中古車を輸出しやすいという利点がある場合もありますが、中米・カリブ諸島には右ハンドル車の輸入が原則として認められていない国も存在するため、輸出先の規制を確認することが重要です。
ここ、初心者がつまずきやすいポイントです。「カリブ=右ハンドルOK」と丸暗記してしまう方がいますが、国によってはハンドル位置そのものがアウトになります。「カリブ諸国」とひとくくりにせず、国ごとにハンドル規制を確認するクセをつけてください。
小規模市場だからこそ、競合が少ないんです
カリブ諸国の市場は、アフリカや東南アジアなどの主要な輸出先に比べて規模が小さいのが特徴です。そのため、大手輸出業者が大量の車両を一度に送るようなビジネスモデルには馴染みにくく、結果として競合が少ない状況が生まれています。一方で、島国が多く鉄道網が未発達な地域では、自動車が生活や経済活動に不可欠なインフラであり、耐久性と信頼性に優れた日本車への需要は非常に高い水準で安定しています。
「小さい市場=儲からない」と思われがちですが、それは逆です。ロットが小さいからこそ価格競争になりにくく、1台あたりの利益率はむしろ確保しやすい傾向があります。当社が支援した業者でも、アフリカ向けより1台あたりの粗利が高く出たケースがありました。
関連記事:アフリカ向け中古車輸出の売り方|人気車種や国別規制・注意点を解説もあわせてご覧いただくと、大規模市場との違いがより分かりやすくなります。
年式規制、ここを間違えると危険です

カリブ諸国への中古車輸出において、最も注意すべき点が各国の厳しい年式規制です。例えば、アフリカのケニアでは製造から7年以内の車両という規制がありますが、カリブ諸国ではさらに厳しい基準が設けられているケースが少なくありません。この規制を誤ると、輸出した車両が税関で止められ、最悪の場合は没収されるといった致命的な損失につながるため、事前の正確な情報収集が不可欠です。
「え、船に積んでから止められるの?」と思いますよね。実はあり得ます。現地で通関できずに港でコンテナが留め置かれ、保管料だけがかさんでいく…というのは、輸出経験者なら一度は聞いたことがある失敗パターンです。仕入れの前に、必ず年式規制を確認してください。
国別の年式規制、知らないと損をします
トリニダード・トバゴはハイブリッドなら3年以内、EVなら2年以内」——ここ、見落とす業者が本当に多いです。
カリブ諸国の年式規制は国によって大きく異なり、非常に厳格です。以下に主要な国の規制例を挙げますが、これらの情報は変更される可能性があるため、輸出前には必ず最新の情報を確認してください。
ジャマイカ:自動四輪車は製造年から6年以内、軽商用車は製造年から6年以内(車両の種類により10年以内まで許容される場合あり)、バスは9人乗り以上で10年以内、15人乗り以上で12年以内、21人乗り以上で15年以内、31人乗り以上で20年以内、46人乗り以上で25年以内。その他商用トラックにも車両重量に応じた年式規制があります。自動二輪車は製造年から5年以内です。
トリニダード・トバゴ:自家用乗用車(ガソリン車・ディーゼル車・圧縮天然ガス車)は製造年から8年以内。軽商用車は製造年から10年以内。ハイブリッド車は製造年から3年以内、電気自動車(EV)は製造年から2年以内です。
バハマ:製造年から8年以内。バルバドス:製造年から4年以内で、走行距離が50,000km未満であること。
「トリニダード・トバゴはハイブリッドなら3年以内、EVなら2年以内」——ここ、見落とす業者が本当に多いです。ガソリン車の感覚で仕入れると、ハイブリッド・EVは一瞬で規制オーバーになります。国別だけでなく、燃料タイプ別にも年式の許容範囲が変わることを忘れないでください。規制の詳細は、輸出前に必ずJETROの中古車輸入規制ページで最新情報を確認しましょう。
「初年度登録」と「製造年」、混同すると危険です
日本の車検証に記載されている「初年度登録年月」は、あくまで日本で最初に登録された年月を示すものであり、カリブ諸国の年式規制の基準とはなりません。規制の対象となるのは車両が工場で生産された「製造年」です。製造年を確認する最も確実な方法は、車両のコーションプレート(車両識別番号や型式が記載された金属板)を確認することです。また、シートベルトの付け根にあるタグに縫い付けられた製造年月も、簡易的な確認方法として利用できます。
これ、意外と知らない方が多くて、車検証の初度登録年月だけを見て仕入れてしまい、現地で製造年オーバーが発覚するケースが実際にあります。オークション会場で車両を見る際は、必ずコーションプレートまで自分の目で確認するクセをつけてください。落札後に気づいても手遅れです。
私が支援している会社でも、新米の仕入れ担当がオークションシートの年式表示だけを見て「これは安く買えた」と喜んで落札した車両が、実は製造年ベースでは規制の年数を超えていたケースがありました。結局オークション戻し(引き取りキャンセル)扱いとなり、キャンセル料と手間だけが残る結果になっています。特に注意したいのが、オークション画像でコーションプレートが見にくい・写っていない車両です。こうした車両は製造年をごまかしているわけではなくても、確認できない以上はリスクとして扱うべきで、画像が不鮮明な時点で入札を見送る、または出品店に確認を取るくらいの慎重さが重要です。

狙うべき車種、ここがポイントです
厳しい年式規制をクリアした上で、次に重要となるのが車種選定です。カリブ諸国では、信頼性が高く、修理部品が手に入りやすい日本車が絶大な人気を誇ります。特に、燃費性能に優れたコンパクトカーやハイブリッド車、そして現地の経済を支える商用車の需要が安定しています。
トヨタのコンパクトカー:定番ですが、国によって好みが違います
カリブ諸国で最も人気が高いのは、トヨタ製のコンパクトカーです。カローラシリーズ(特にアクシオ、フィールダー)、ヴィッツ(海外名:ヤリス)、イストなどは、その圧倒的な信頼性と耐久性、燃費の良さから「壊れにくい車」として広く認知されています。また、万が一故障した場合でも、部品の供給網が確立されているため修理が容易である点も、人気の理由の一つです。
実はここが大事です。「カリブ諸国だから同じ車が売れる」わけではありません。同じトヨタ系コンパクトでも、国によって好まれるボディタイプや色に違いがあります。例えばジャマイカやトリニダード・トバゴのバイヤーは商用利用も兼ねやすいセダン(フィールダー等のワゴンタイプ含む)を好む傾向が強く、色は現地の強い日差しの中でも汚れが目立ちにくい白・シルバー・パール系が最も動きが早いという声を、現地トレーダーからよく聞きます。逆に黒や紺などの濃色車は、夏場の車内温度が上がりやすいという理由で敬遠されがちです。「日本で人気の色だから」という理由だけで仕入れると、現地で在庫が滞留する原因になります。
日産ADバン:実はここが大事です
日産のADバンは、その優れた積載能力と頑丈な作りから、カリブ諸国ではタクシーや軽貨物運送などの商用車として非常に高い需要があります。シンプルな構造でメンテナンスがしやすく、日常的なビジネスの道具として高い実用性を発揮します。特に、個人事業主からの支持が厚く、安定したリセールバリューが期待できる車種です。
ADバンは「地味だけど手堅い」代表格です。バハマやバルバドスのように観光業が経済の中心の国では、ホテルのスタッフ送迎や物資配送用として、装飾のないシンプルな白のADバンが安定して動きます。派手さより「壊れず・直しやすく・燃費がいい」ことが評価される商用車ならではの需要なので、内外装の見た目より機関系の状態を優先して仕入れるのが正解です。
いすゞ「エルフ」:小型トラック、ここで差が出ます
多くの島国で構成されるカリブ地域では、物資の輸送を道路交通に大きく依存しており、小型トラックは経済を支える重要なインフラの一部です。中でも、いすゞのエルフに代表される日本の小型トラックは、その卓越した耐久性とパワフルなエンジン、高い積載能力で絶大な信頼を得ています。農業、建設、配送など、あらゆる産業で活躍しており、年式が比較的新しい車両は高値で取引される傾向にあります。
エルフのような小型トラックは、年式規制が厳しいカリブ市場では「若い年式を確保できるかどうか」が利益の分かれ目です。国内オークションでも小型トラックは競合が激しく相場が上がりやすいので、複数の在庫を確保できる目処が立ったタイミングでまとめて現地バイヤーに打診すると、価格交渉を有利に進めやすくなります。
年式以外にも、先に知っておいてほしいことがあります
カリブ諸国への中古車輸出では、厳しい年式規制をクリアすることが大前提ですが、それ以外にも注意すべき重要なポイントが2つあります。一つは、車両の状態を厳しくチェックする輸出前検査(PSI)の基準を満たすこと、もう一つは、小規模市場特有の輸送事情を考慮した船積みの計画です。
PSI(輸出前検査):初心者がつまずきやすいポイントです
多くの国では、輸出される中古車に対してPSI(Pre-Shipment Inspection/輸出前検査)の実施が義務付けられています。この検査では、走行距離の改ざんがないか、盗難車でないかといった基本的な項目のほか、車両の状態が厳しくチェックされます。特に、シャーシや下回りの深刻な錆、大きな事故による修復歴がある車両は不合格となる可能性が非常に高いです。
「年式さえクリアすれば大丈夫」と思って仕入れて、下回りの錆でPSIに落ちた…という失敗、初心者が本当にやりがちです。落札前にオークションシートの下回り評価まで確認し、際どい車両は避けるのが無難です。PSIで不合格になると、そこまでの輸送費・検査費が丸ごと無駄になります。
船積みのコツ:プロはここを見ています
カリブ諸国向けの貨物船は、アフリカなどの大規模市場向けに比べて便数が少ない傾向にあります。そのため、輸送スケジュールを慎重に計画し、効率的な船積み方法を選ぶことがコスト管理の鍵となります。一台単位で輸送するよりも、コンテナ一本を複数の事業者でシェアする「混載便」を利用することで、一台あたりの輸送コストを抑えることが可能です。
便数が少ない市場では、「船が出るタイミングに間に合わせる」こと自体が利益に直結します。船待ちで在庫が滞留すると、その分だけ保管料と資金拘束のコストがのしかかってきます。混載便を使う場合は、同じ航路に強いフォワーダーと早めに関係を作っておくと、直前でも枠を確保しやすくなります。
よくある質問、まとめてお答えします
ここでは、カリブ諸国への中古車輸出を検討している方から寄せられる、よくある質問とその回答をまとめました。
Q. 各国の年式規制は今後変更される可能性がありますか?
はい、変更される可能性は常にあります。各国の政府方針や環境保護の観点から、年式規制は予告なく厳格化されることがあります。輸出を計画する際は、必ず現地の輸入代理店や日本にある各国の大使館などを通じて、最新の規制情報を入手することが不可欠です。
Q. カリブには左ハンドルの国もありますが、輸出は可能ですか?
はい、輸出自体は可能ですが、注意が必要です。スリナムやキュラソーなど一部の国では左ハンドルが採用されています。日本から輸出される中古車の多くは右ハンドルですが、スリナム共和国では左ハンドル規制がなく、製造年から8年以内であれば乗用車の輸入が可能です。ターゲットとする国の交通ルールを事前に必ず確認してください。
Q. 輸出の専門業者でなくても、個人で手続きはできますか?
手続き自体は不可能ではありませんが、非常に複雑なため専門業者への依頼を強く推奨します。輸出に必要な書類の作成、船積み手配、現地の法律に基づいた通関手続きなど、専門的な知識と経験が不可欠です。特に小規模な輸出では、ノウハウを持つ業者に任せる方が結果的に時間とコストを削減できます。
まとめ
カリブ諸国への中古車輸出は、大手との競合が少ないニッチな市場でありながら、日本車への高い需要が存在する魅力的なビジネスです。成功の鍵は、ジャマイカやトリニダード・トバゴなどに代表される国ごとの厳しい製造年規制を正確に把握し、遵守することにあります。その上で、トヨタのコンパクトカーや日産の商用バン、いすゞの小型トラックといった、現地の具体的なニーズに合致した車種を選定することが、安定した利益確保につながります。
一言でまとめると、「カリブ=ロットは小さいが、競合も小さい市場」です。年式規制と国別の好み(車種・色・ボディタイプ)さえ押さえれば、中小規模の事業者でも十分に戦える市場だと私は考えています。
UCARWORLDが選ばれる理由
「年式規制が国ごとに細かすぎて、仕入れの判断に自信が持てない」——カリブ諸国への輸出を検討する方から、こうした声をよく聞きます。私自身、トレードカービュー(現TCV)の立ち上げに関わり、1,000社以上の輸出支援を行ってきましたが、小規模市場ほど「国別の規制・好みの情報」が仕入れ判断の精度を左右します。UCARWORLDは、世界100カ国以上のバイヤーにリーチできるだけでなく、国別の売れ筋トレンドをデータとしてご提案できる体制を整えています。乗用車だけでなく商用車・トラックにも対応しており、長期在庫となっていた車両が輸出によって数十万円規模の利益に変わった事例も少なくありません。海外輸出が未経験の販売店様にも、仕入れから船積みまでの始め方ガイドを用意し、伴走するサポート体制がありますので、まずはお気軽にご相談ください。
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在庫車両の輸出可能性診断も承っています。
👉 UCARWORLDへのお問い合わせ・掲載申込はこちら:https://biz.ucarworld.com

経歴
- カービューにて中古車輸出プラットフォーム「Tradecarview(現TCV)」を立ち上げ
- 中古車輸出未経験企業を含め、1,000社以上の輸出支援を実施
- 楽天グループにて海外EC展開・越境販売を推進
- 中古車輸出企業「カーペイディーエム」を創業し、豊田通商へ事業売却(M&A)
- 中古車輸出プラットフォームの立ち上げ・海外展開・M&Aを経験
- 現在はUCARWORLD(中古車輸出モール)の運営に携わり、出店企業様のモール上での販売をサポート