2026年、パキスタン向けの中古車輸出は「別物」になりました。
長年使われてきた個人輸入スキームが実質崩壊し、代わりに商業輸入が条件付きで解禁。でもその条件が、かなり厳しい。
「まだパキスタン向けで稼げますか?」と聞かれることが増えましたが、答えは「車種と体制次第」です。今まで通りのやり方では通用しない。それだけははっきり言えます。
本記事では、2026年の規制変更の中身、商業輸入の具体的なルール、そして新環境下でどの車種にチャンスがあるかを整理します。
先に知っておいてください!2026年、パキスタン輸入規制の何が変わったか
2025年10月1日、パキスタンで中古車の商業輸入が特定条件のもとで解禁されました。同時に、個人輸入スキームには大きな制限がかかっています。
この背景には、IMFからの「貿易自由化しろ」という圧力と、「国内の自動車産業を守りたい」パキスタン政府の思惑が絡み合っています。どちらかに振り切れないから、「条件付き解禁」という中途半端な着地になっている。
茶谷's POINT
現地の輸入業者と話すと、「商業輸入が始まったのに、誰も動けない」という声が多い。条件が厳しすぎて参入できる業者が限られるからです。逆に言えば、参入できた業者は独占的なポジションを取れる。これは長期で見ると大きなチャンスでもあります。

パキスタン中古車輸入規制の全体像|商業輸入と個人輸入の早見表(2026年時点)

細かい条件に入る前に、いま何がどうなっているのかを一度整理しておきます。
商業輸入(条件付きで解禁)
- 開始:2025年10月1日から
- 車齢:5年以内の中古車に限定
- 関税:調整関税(Regulatory Duty)当初40%
- 検査:日本での船積み前検査+パキスタン入港後の検査の二段階
- 体制:パキスタン国内に3S拠点(販売・整備・部品供給)の設置義務
- 2026年4月以降、3Sネットワークや二段階検査の基準がさらに厳格化
個人輸入スキーム(実質的に縮小)
- 手荷物(Personal Baggage)スキーム:2026年1月の規制変更で事実上廃止
- ギフトスキーム:輸入後1年間の転売禁止。ビジネス利用は事実上不可
- TR(Transfer of Residence)スキーム:海外滞在期間などの審査が厳格化
つまり「安い古い車を個人スキームで流す」という従来のやり方は、ほぼ閉じられました。残っているのは、車齢5年以内・高関税・現地体制ありきの商業輸入という一本道です。以下、それぞれの条件を順に見ていきます。
ここがポイントです|商業輸入の4つの新ルール
中古車輸出の国別戦略については「人気国と最新規制ガイド」もあわせて確認してください。
甘く見ないでください|40%の調整関税(Regulatory Duty)という現実
商業輸入に課される調整関税は当初40%。これ、相当キツいです。
この関税は「急激な輸入増加で国内産業が死ぬのを防ぐ」という名目で導入されました。政府は段階的に引き下げる方針を示していますが、スケジュールは経済状況次第。「いつ下がるか」は誰にも分かりません。
利益計算をするときは、この40%を前提に組み直してください。「関税が下がったら儲かる」という皮算用では動けない。
ここで差が出ます|出荷前・入港後の二段階検査
「検査が2回ある」というのは、コストと時間の両方に響きます。
- 日本での船積み前に指定機関による検査が必要
- パキスタンの港に到着後に再度検査
この二重チェックは車両品質の担保が目的ですが、現場では「書類不備で港に足止め」「検査待ちで数週間ロス」というケースが出始めています。
事前に書類フローを整備していない業者は、ここで詰まります。
ここを間違えると危険です|3S拠点の設置義務
これが最大の参入障壁です。
商業輸入を行うには、パキスタン国内に販売(Sales)・整備(Service)・部品供給(Spareparts)の機能を持つ3S拠点を設置することが義務付けられています。
「車を売るだけ」じゃ許可が下りない。アフターサービスと部品供給まで責任を持てということです。これには相当な初期投資と現地パートナーが必要になります。
「『えっ、それだと個人では無理じゃないか』と思いますよね。」はい、その通りです。この条件は実質的に大手しか参入できない設計になっています。
知らないと損をします|車齢5年以内という年式制限
商業輸入でパキスタンへ送れる中古車は車齢5年以内に限定されています。
これまでのパキスタン向け輸出の主流は、価格が安い古い年式の車でした。その層は商業輸入では完全に対象外になりました。
国別の年式制限・関税・ハンドル規制の詳細は「2026年最新の年式・ハンドル・関税解説」で確認できます。
日本側の輸出手続きはどう変わる?船積み前検査までの準備
パキスタン側の条件ばかりが話題になりますが、実務で詰まるのは日本側の準備です。順番を整理しておきます。
まず、日本からの中古車輸出そのものの流れは従来どおりです。輸出抹消仮登録(または永久抹消)を行い、輸出予定届出証明書を取得。そのうえでインボイス・パッキングリストを整え、通関後にB/L(船荷証券)が発行されます。ここは規制変更の影響を受けません。
変わったのは、この流れに船積み前検査が割り込む点です。商業輸入では日本での船積み前に指定機関の検査を通す必要があり、検査の予約・実施・結果書類の発行が船積みスケジュールに乗ってきます。従来の「落札→抹消→船積み」というリードタイムのままで組むと、検査待ちで本船を落とします。
そのうえで、出港前に最低限そろえておきたいのは次の4点です。
- 対象車両が車齢5年以内の条件を満たしているか(起算日の考え方を輸入者側と事前に一致させておく)
- 船積み前検査の予約が取れているか、結果書類の名義・車台番号に誤りがないか
- 輸入者側がパキスタンで商業輸入の要件(3S拠点を含む)を満たしているか
- 入港後検査で追加提出を求められた場合、誰が対応するかを契約上決めてあるか
особенно特に4点目は軽視されがちですが、入港後に足止めされた場合の保管料・遅延費用の負担を決めていないと、そのまま損失になります。取引条件(FOB/CIFなど)とあわせて、書面で取り決めてください。
これらは制度変更が続いているため、船積み前に必ず現地の輸入者および通関業者へ確認してください。
知ってますか?個人輸入スキームの今
ギフトスキーム:転売禁止で「ビジネス利用」は事実上終了
ギフトスキームで輸入した車両に「1年間の転売禁止」が導入されました。
以前は、ギフト名目で輸入してすぐ市場で売るという手法が横行していました。その抜け穴が塞がれた形です。ビジネスとしての利用は実質不可能。純粋な個人利用に限定されます。
TRスキーム:審査が厳格化、安易な利用は不可
海外から帰国するパキスタン人が自家用車を持ち込むTR(Transfer of Residence)スキームも、利用条件が厳しくなりました。
海外での最低滞在期間の延長など、より細かい審査が入ります。「制度を使えばいける」という感覚で動くと、申請が通らなかったときのリスクが大きい。
実はここが大事です|手荷物スキームは事実上廃止
多くの個人輸出業者にとって打撃なのが、手荷物(Personal Baggage)スキームの廃止です。
2026年1月の規制変更で、この方法は使えなくなりました。比較的簡便な手続きで持ち込めたため、依存していた業者は多い。「まだ使えるはず」と思い込んで動くのは危険です。最新状況を必ず確認してください。
結論、ここから始めるのが現実的です|規制後の需要動向

需要が激減した軽自動車・1000cc未満の小型車
軽自動車や1000cc未満の小型車は、個人輸入スキームを通じて市場に供給されていた層です。
そのスキームが崩れた今、以前のような流通量は期待できません。商業輸入では車齢5年以内・高関税が適用されるため、もともとの「安さ」という強みが消えてしまいます。
この層を主力にしていた業者は、戦略の見直しが必要です。
意外に強いです|ハイブリッド車の根強い需要
燃費の良さは、ガソリン価格が高いパキスタンでは「コスト削減」として直接刺さります。
トヨタのアクアやプリウスは、都市部を中心に継続的な需要があります。ただし、ハイブリッドバッテリーの交換費用は現地での懸念材料になっているのも事実。「維持コストが高い」と敬遠されるケースも出ています。
ハイブリッドへの関税優遇措置の有無は規制変更で揺れる可能性があるため、最新の税制を確認してから仕入れ判断をしてください。
高関税でも利益が出る車種はここです|高級SUVという選択肢
40%の関税を払っても利益が見込めるカテゴリーがランドクルーザー・プラドなどの高級SUVです。
パキスタンの富裕層からの需要は非常に根強く、価格が下がりにくい。高い関税コストを吸収できるだけの販売価格が期待できる数少ない車種です。
厳しい規制環境でも、高付加価値車両にビジネスチャンスが集中しています。
プロはここを見ています|IMFと国内産業保護、今後の見通し
今後のパキスタン向け輸出は、「IMFの要求」と「国内産業保護」という二つの圧力がぶつかり続ける環境で動きます。
- IMFは貿易自由化・規制緩和を要求
- パキスタン政府は国内自動車産業を守りたい
この綱引きの結果として、調整関税の引き下げペースや追加の規制変更が今後も起こる可能性があります。
「規制が落ち着くまで様子見」は分からなくもないですが、先に現地体制を整えた業者が市場を取っていく。動ける準備だけは今から整えておくことが、現実的な対応です。
外務省・JETROのパキスタン投資・貿易情報も定期的にチェックすることをおすすめします。
パキスタンの輸出規制はいつまで続く?緩和の見通し
「この規制、いつまで続くんですか?」——いちばん多い質問です。
先に結論を書きます。今回の商業輸入解禁は、2026年6月30日までの暫定措置として発表されています。政府はそれ以降、車齢制限の撤廃を含めた見直しを検討するとしていますが、その後どうなるかは本記事作成時点(2026年9月)でまだ示されていません。「2026年6月末で規制自体が終わる」わけではなく、「その時点で一度見直しが入る」という理解が正確です。
いつまで、を考えるときに見るべきポイントは3つです。
1|調整関税40%の引き下げ時期
政府は段階的に引き下げる方針を示していますが、具体的なスケジュールは示されていません。40%が続く前提で採算を組むのが現実的です。
2|車齢5年以内という年式制限
商業輸入の年式制限は、国内自動車産業の保護と直結する条件です。ここが緩和されれば市場は一気に広がりますが、緩和を示す情報は現時点で確認できていません。
3|個人輸入スキームは戻らない前提で
2026年1月に廃止された手荷物スキームや、ギフトスキームの転売禁止は、抜け穴を塞ぐ目的で導入されたものです。緩和の対象になる可能性は、関税や年式制限に比べて低いと考えるのが妥当です。
一方で、規制が強まる方向の変更も同じ確率で起こり得ます。IMFの要求と国内産業保護の綱引きが続く限り、条件は動きます。「緩和を待つ」のではなく、40%関税・車齢5年・3S拠点という現在の条件で成立する形を先に作る。それが、いつまで続くか分からない環境での現実的な答えです。
最新の制度内容は、船積み前に必ず現地の輸入代行・通関業者へ確認してください。
よくある質問
今からパキスタンに輸出するなら、商業輸入と個人輸入のどちらが良いですか?
資本力と現地での体制構築が可能なら、商業輸入が選択肢です。個人輸入は規制強化でビジネスとしての安定性が著しく低下しており、推奨できません。
参入障壁は高い。でも一度軌道に乗れば継続的なビジネスが可能です。「その体力が自社にあるか」が判断の分かれ目です。
調整関税40%を払っても利益が出る車種は?
ランドクルーザー・プラドなどの高級SUVが代表格です。富裕層に根強い需要があり、高価格帯で取引されるため、40%の関税を吸収しても利益を確保しやすい構造があります。
日本国内のオークション相場への影響は?
パキスタン向け輸出が激減した軽自動車・1000cc未満の小型車は、下落傾向が予想されます。一方、ランドクルーザーなど高級SUVは他国からの需要も強く、高値維持か上昇の可能性があります。パキスタンの規制変化は、国内の仕入れ相場にも影響します。
あわせて読みたい
この話題の中心の記事
同じ話題の記事
UCARWORLD BIZ
UCARWORLDがパキスタン向け輸出で選ばれる理由
「規制が変わってから、どこに相談すればいいか分からない」という声をよく聞きます。
UCARWORLDには、世界100カ国以上のバイヤーネットワークがあります。パキスタン向けの商業輸入が厳格化された今、「パキスタン一本」から「パキスタン+周辺国」へ販路を広げるという動きが増えています。実際に当社では、パキスタン向けで動けなくなった在庫をアフリカ・中東のバイヤーに切り替えて捌いた事例が複数あります。
私茶谷は、TCV(旧トレードカービュー)の立ち上げに関与し、1,000社以上への輸出コンサルを経験してきました。「規制が変わるたびに右往左往する」状態から抜け出すには、複数市場への同時展開が現実的な答えです。
UCARWORLDなら、車両登録から海外バイヤーへの露出まで一括対応。商業輸入の条件をクリアできない車両でも、別市場への出口を一緒に探せます。在庫が動かなくなる前に、まず相談してみてください。
まとめ
整理すると、2026年のパキスタン向け輸出環境はこうなっています。
- 2025年10月〜:車齢5年以内の中古車商業輸入が解禁(40%調整関税)
- 2026年4月〜:3Sネットワーク構築・2段階検査など、商業輸入の基準が厳格化
- 2026年1月〜:手荷物スキーム廃止、ギフトスキームは転売禁止、TRスキームは審査厳格化
以前のように「個人スキームを使って手軽に輸出」という時代は終わりました。ビジネスチャンスは高付加価値車両への特化か、長期的な現地体制構築の方向にあります。
規制は今後も動く可能性があります。最新情報を常に追いながら、変化に対応できる準備を整えておいてください。
経歴
- カービューにて中古車輸出プラットフォーム「Tradecarview(現TCV)」を立ち上げ
- 中古車輸出未経験企業を含め、1,000社以上の輸出支援を実施
- 楽天グループにて海外EC展開・越境販売を推進
- 中古車輸出企業「カーペイディーエム」を創業し、豊田通商へ事業売却(M&A)
- 中古車輸出プラットフォームの立ち上げ・海外展開・M&Aを経験
- 現在はUCARWORLD(中古車輸出モール)の運営に携わり、出店企業様のモール上での販売をサポート