中古車輸出営業は、完成された自社製品を海外に販売する一般的な海外営業とはビジネスモデルが大きく異なります。
成功の鍵を握るのは、一点ものである中古車を買い付ける「仕入れ」の目利きと、特有のキャッシュフローを管理する「資金繰り」の知識です。

実際の現場では、仕入れと資金繰りのどちらか一方が崩れるだけで、月次の収支が一気に赤字に転落するケースが少なくありません。

「安く仕入れられたのに、消費税還付のタイミングを読み違えて資金ショートした」という失敗は、輸出未経験の担当者が最初につまずく典型パターンです。

本記事では、一般的な海外営業との違いを明確にしながら、中古車輸出ビジネスで成功するための4つの法則を具体的に解説します。

なお、中古車輸出ビジネスの立ち上げ手順(古物商許可・オークション入会・消費税還付申請の流れ)については、中古車輸出 法人の始め方|古物商許可・消費税還付・オークション入会まで5ステップで解説 も合わせてご覧ください。

中古車輸出営業とは?一般的な海外営業との3つの決定的な違い

中古車輸出営業と一般的な海外営業は、海外の顧客に商品を販売する点では共通していますが、そのビジネスプロセスには決定的な違いが存在します。
主に「取り扱う商品」「営業の役割」「利益構造」の3つの側面で、中古車輸出ビジネスならではの特殊性が見られます。

これらの違いを理解することが、ビジネス成功への第一歩となります。

違い①:商品は自社製品ではなく「一点ものの中古車」を仕入れる

一般的な海外営業が規格化された自社製品を販売するのに対し、中古車輸出では品質や状態がすべて異なる「一点もの」の中古車を商品として扱います。
営業担当者は、国内のオートオークションなどで車両を自ら仕入れる必要があり、その際の「目利き」がビジネスの収益性を直接左右します。

少しでも条件の良い車両を求め、複数のオークション会場の車両を確認することも必要です。
どの車両を、いくらで仕入れるかという判断が、営業活動の起点となる点が最も大きな違いです。

そのため、車両知識と相場観が不可欠なスキルとなります。

仕入れの判断ミスはそのまま利益の消滅に直結します。

たとえば、修復歴の見落としや走行距離改ざん疑惑のある車両をバイヤーに販売してしまうと、クレーム・返品・信頼失墜のトリプルパンチになります。

国内販売経験だけで輸出仕入れに挑む担当者が最初に痛感するのが、「一点もの」ゆえの判断責任の重さです。

違い②:営業の役割は販売だけでなく「物流管理」まで担う

自社製品を販売する営業は、主に顧客への提案や契約締結に注力します。
一方、中古車輸出営業の役割は多岐にわたります。
海外のバイヤーとの商談はもちろん、仕入れた車両の船積み手配、輸出に必要なインボイスや船荷証券といった貿易書類の作成、輸出先の輸入規制の確認など、物流管理や貿易実務まで一貫して担当します。
せっかく販売が決まった車両でも年式規制やハンドル規制などで実は輸出ができないということがないように事前の確認はとても重要です。
販売スキルだけでなく、正確な事務処理能力と段取りの管理能力が求められます。

国別の輸入規制(年式・ハンドル・排気量)は頻繁に変更されます。

仕入れ前に必ず最新情報を確認する習慣がない営業担当者は、「売ったのに輸出できない」という最悪の事態に陥ります。

規制情報の最新版は 国別 中古車輸出 規制一覧【2026年最新】 でも随時更新していますので参考にしてください。

違い③:利益は販売価格に加えて「消費税還付」で確保する

一般的な国内取引では、商品の販売価格と仕入れ価格の差が利益となります。
しかし、中古車輸出ビジネスにおいては、この差益に加えて「消費税の還付」が大きな利益源となります。
輸出取引は消費税が免除されるため、車両の仕入れ時に支払った消費税が、所定の手続きを経て国から還付される仕組みです。

この制度は消費税という法律に基づいており、還付金を見込んだ価格設定と資金計画を立てることが、ビジネスを成功させる上で極めて重要です。

消費税還付は「おまけ収益」ではなく、事業の収益構造そのものに組み込まれています。

たとえば300万円の車両を仕入れた場合、10%の消費税30万円が後日還付されます。

月に10台仕入れれば300万円の還付が見込める計算です。

ただし還付申請から入金まで1〜2か月のタイムラグがあるため、このキャッシュギャップを見越した資金計画を立てないと、利益が出ているのに資金が足りないという状況に陥ります。

【法則1】中古車輸出ビジネスの成否を分ける「仕入れ」の技術

中古車輸出ビジネスにおいて、利益の源泉は「いかに安く、質の良い車両を仕入れるか」に集約されます。
輸出先の国で需要のある車両を見極め、オートオークションなどで適正価格、あるいはそれ以下で落札する技術がなければ、ビジネスとして成立させることは困難です。
ここでは、成否を分ける仕入れの具体的な技術について解説します。

仕入れに関する詳細な手順・オークション活用法については 中古車輸出の仕入れ完全ガイド|オークションでの販売車両の選び方 もあわせて参照ください。

オートオークションで優良車両を安く落札する目利きのコツ

オートオークションでの仕入れ成功には、出品票を正確に読み解く能力が不可欠です。
評価点や走行距離だけでなく、修復歴の有無やその内容、検査員が記載したコメントの詳細まで確認します。
特に外装の傷や凹みの位置、内装の状態、セールスポイントとなる装備品を見落とさないことが重要です。

また、可能であれば下見を行い、エンジン音やオイル漏れの有無、下回りの錆の状態などを自分の目で確かめることで、出品票だけでは分からない車両コンディションを把握し、リスクの低い仕入れを実現します。

電話越しでもエンジン音の音の確認をしてもらえる場合もあり、購入判断の材料となります。

特に初心者が見落としやすいのが「評価点4以上でも修復歴ありの車両」です。

修復歴ありの車両は、輸出先バイヤーから値引き交渉の口実にされやすく、最終的な手取り利益が大きく圧縮されます。

仕入れ段階で修復歴の内容(フレーム修正か外板交換かの違い)まで確認することが、利益率を守る第一歩です。

また、オークション落札前に「この車両は何向けか(アフリカ向けSUV?ロシア向けセダン?)」という仮説を持ってから入札することが重要です。

販売先を決めずに「安かったから仕入れた」車両は在庫として長期滞留し、最終的に国内値下げを余儀なくされます。

在庫が長期化すると維持コストも膨らむため、仕入れと販路のセットで考える習慣が利益率改善の核心です。

輸出先の国で需要の高い人気車種やグレードを見極める方法

輸出先の国によって、人気のある車種、年式、グレード、ボディカラーは大きく異なります。
現地の道路事情や税制、宗教観、所得水準などが複雑に影響するためです。
例えば、アフリカなどの道路が整備されていない地域では耐久性の高いSUVやトラックが好まれ、税金が高い国では排気量の小さいコンパクトカーに需要が集中します。

現地のバイヤーとのコミュニケーションを通じて生きた情報を得たり、貿易統計データから輸出実績のある車種を分析したりすることで、的確な需要を捉えることが可能です。

実際の現場では、同じハイエースでも「ロングボディのディーゼル4WDがほしい」「ガソリン2WDは値がつかない」という細かい要望がバイヤーから来ることがあります。

グレード・燃料種・駆動方式の組み合わせで数十万円単位の価格差が出ることもあります。

バイヤーの細かいニーズを把握するほど、仕入れの精度と販売単価が上がります。

国別の人気車種・需要傾向については 海外で人気の日本中古車ランキング!輸出で高く売れる車種を解説 に詳しくまとめています。

仕入れ判断の前に必ず確認することをお勧めします。

利益を最大化するために必須の車両相場観を養う訓練

車両の仕入れ価格は、オークションの開催日や時期、出品台数、為替レートなど様々な要因で常に変動します。

いつも同じ車両に同じ時期、同じ価格で出会えるわけではありません。
「一期一会」の時を逃さずに、利益を安定して確保するためには、こうした変動を予測する「相場観」が欠かせません。
相場観を養うには、過去のオークション落札データを継続的に分析し、車種や年式、走行距離ごとの価格帯を頭に入れる訓練が必要です。

特定の車種に絞って毎日相場を追いかける、為替の動きと落札価格の関連性を記録するなど、地道な努力を続けることで、利益を最大化できる仕入れのタイミングを見極める力が身につきます。

相場観の欠如は、過仕入れによる損失を生みます。

たとえば円安局面で「割安に見えた」車両を大量に仕入れ、その後円高に転じた結果、販売価格の見直しを余儀なくされ利益がほぼゼロになったケースは実際に起きています。

為替が1円動くだけで1台あたり数万円の利益差が生じることを念頭に置き、為替変動と仕入れ判断を連動させる体制づくりが必要です。

茶谷’S POINT
為替が大きく動く際は、仕入れも慎重になります。数日で為替が10円ぶれたことがあり、その間に仕入れた車両が想定よりも利益が出なくなるケースもありました。その時は、すぐに営業と仕入れ担当を集めて会議を行い今後の方針を話しあいましたが、売れば売るほど損失なんてこともありえるので、仕入れのタイミング管理と売値の調整が重要です。

【法則2】キャッシュフローを安定させる「資金繰り」の知識

中古車輸出ビジネスは、車両を仕入れてから販売代金が入金されるまでに時間がかかり、一時的に大きな資金が必要になるビジネスモデルです。
そのため、キャッシュフローをいかに安定させるかが事業継続の生命線となります。
消費税還付などの制度を正しく理解し、計画的な資金管理を行う知識が不可欠です。

よくある失敗が「消費税還付を見越して仕入れ台数を増やしたが、還付入金前に運転資金が底をついた」というケースです。

還付申請のタイミング・入金時期を月次キャッシュフロー表に落とし込まないまま仕入れを拡大すると、利益が出ているはずなのに支払いができないという状況が生じます。

事業の生命線となる消費税還付の仕組みと申請手続き

中古車輸出における消費税還付は、重要な収益源であると同時に、キャッシュフローに大きな影響を与えます。

国内で車両を仕入れる際には消費税を支払いますが、輸出品には消費税が課されないため、仕入れ時に支払った消費税が後日税務署から還付されます。

この制度は消費税法という法律で定められており、輸出許可証や船荷証券(B/L)の写しなどを添付して確定申告を行う必要があります。

還付金は申請から入金まで1〜2ヶ月程度かかるため、その間の資金繰りを考慮した事業計画が重要です。

消費税還付は「自動的に振り込まれる」ものではなく、適切な書類を揃えて申告・申請して初めて受け取れます。

輸出許可証(税関が発行)・B/Lの写し・帳簿の整備が必要であり、書類不備があれば還付が遅延または否認されるリスクもあります。

還付制度の詳細や申請要件については、国税庁の消費税輸出免税に関する公式情報 を必ず確認してください。

消費税還付の還付サイクルを短縮したい場合は、「中間申告の活用」や「課税期間の短縮特例」を税理士と相談することも有効です。

特に仕入れ台数が多い時期は、還付タイミングを意識的にコントロールすることで、キャッシュフローが大幅に安定します。

見落としがちなリサイクル預託金の還付で資金を確保する

消費税還付と同様に、リサイクル預託金の還付も重要な資金確保の手段です。
自動車リサイクル法という法律に基づき、国内で車両を購入する際にはリサイクル料金を預託する義務がありますが、車両を輸出した場合はこの預託金が返還されます。

輸出抹消仮登録または輸出抹消登録を行い、輸出の事実を証明する書類を添えて自動車リサイクルシステムに申請することで還付を受けられます。
1台あたりの金額は大きくありませんが、取引台数が増えればキャッシュフローへの貢献も大きくなるため、忘れずに手続きを行うことが大切です。

車両数が多くなると申請書類作成にも時間がかかるため、余裕を持った対応が必要となります。

リサイクル預託金の還付申請を後回しにして「未申請の還付金が数十万円分積み上がっている」という事業者は実際にいます。

1台あたり7,000〜20,000円程度が多いですが、月50台扱う事業者なら年間で500万円規模の還付が発生することもあります。

申請フローを社内で標準化し、書類提出を定型業務として組み込むことが重要です。

中古車輸出ビジネスを始めるために必要な初期費用と運転資金の目安

中古車輸出ビジネスを開始するには、初期費用と運転資金が必要です。
初期費用としては、事業を行うための事務所費用、パソコンなどの備品代、そして中古車を売買するために必須となる古物商許可の取得費用などが挙げられます。

一方、運転資金はビジネスの規模によって大きく変動しますが、主に車両の仕入れ代金、陸送費、船積み費用、そして代金回収までの会社の運営費が含まれます。
特に運転資金は、最低でも車両2〜3台を仕入れて輸出できる程度の数百万円は用意しておくのが一般的です。

具体的な数字として、車両1台の仕入れ単価が150万円、月3台仕入れる場合、仕入れだけで450万円が先払いで必要です。

そこに陸送費(1〜3万円/台)・港コスト・海上運賃(3〜10万円/台)・保険料が加わります。消費税還付の入金まで2か月かかると仮定すると、最低でも700〜1,000万円程度の運転資金を用意しておかないと、3か月以内に資金ショートするリスクがあります。

「思ったより資金が必要だった」は初参入者の最も多い失敗談の一つです。

【法則3】海外バイヤーの信頼を勝ち取る「営業・実務」の進め方

海外のバイヤーと継続的な取引を行うためには、価格や品質だけでなく、ビジネスパートナーとしての信頼を勝ち取ることが不可欠です。
輸出先の法律や規制を遵守し、ミスなくスムーズに取引を進める実務能力が、そのまま信頼に直結します。
ここでは、バイヤーからの信頼を得るための営業と実務の進め方を解説します。

輸出先の輸入規制(年式・排気量など)を正確に把握する

中古車の輸入規制は国ごとに大きく異なり、非常に厳格です。
例えば、製造から一定年数が経過した車両の輸入を禁止する「年式規制」、左ハンドル車しか登録できない規制、逆に右ハンドル車しか登録できない規制、排気ガス基準などが存在します。
これらの規制は現地の法律に基づいており、頻繁に変更される可能性もあります。

誤って規制に適合しない車両を輸出してしまうと、通関できずに返送となったり、最悪の場合は現地で廃棄処分となったりする甚大なトラブルに発展します。
JETROのウェブサイトや現地のパートナーから最新情報を入手し、正確に把握することが大前提です。

実際に起きたケースとして、ある国が突然「製造後5年以上の車両の輸入禁止」を施行したにもかかわらず、情報収集が遅れて該当車両を複数台仕入れ済みだった事業者が、在庫を丸ごと損失として抱えるという事態が起きています。

規制情報の収集は「月1回確認すれば十分」ではなく、主要輸出先についてはアラートを設定して変更をキャッチする体制が必要です。

トラブルを未然に防ぐ船積み書類(B/L・インボイス)の作成手順

中古車輸出には、船荷証券(Bill of Lading, B/L)やインボイス(仕入書)といった様々な船積み書類が伴います。
これらの書類は、貨物の所有権を証明したり、通関手続きに使用されたりする非常に重要なものです。

書類に記載された車両情報(車台番号、エンジン型式など)や金額に誤りがあると、輸出先での通関が遅延したり、最悪の場合、輸入が許可されないこともあります。
バイヤーに多大な迷惑をかけるだけでなく、信頼を失う原因になるため、細心の注意を払って正確に作成する手順を確立することが不可欠です。

また、B/Lは貨物の所有権を示す有価証券であり、自動車を港で受け取る際に必須となるため、B/Lの発送が遅れると、トラブルに直結する可能性が高くなります。

B/Lの発送遅延は「バイヤーが港で車両を受け取れない」という深刻な問題を引き起こします。

港の保管料は日単位で発生するため、バイヤー側のコスト増加につながり、クレームや取引関係の悪化に発展するケースもあります。

B/L発行から海外送付までの日数を社内SLAとして設定し、遅延が発生した場合の連絡フローを事前に決めておくことが信頼維持の実務基盤となります。

初心者が特にミスしやすいのが、インボイスの「申告価格」と実際の取引価格の乖離です。

低い金額を記載する「アンダーバリュー」は現地の関税逃れと見なされ、貨物の没収・事業停止処分のリスクがあります。

適正価格での申告が輸出事業者としての誠実さと法令遵守の基本です。

業者向け(BtoB)と個人向け(BtoC)で異なる営業アプローチ

中古車輸出の営業先は、現地の販売業者(BtoB)と一般の個人ユーザー(BtoC)に大別され、それぞれアプローチが異なります。
BtoB営業では、一度に複数台を継続的に購入してくれるパートナーシップの構築が目標です。
そのため、安定した供給能力、競争力のある価格、迅速な事務対応が重視されます。

一方、BtoC営業では、ウェブサイトやSNSを通じて個々の顧客と直接やり取りします。
車両状態に関する詳細な説明や、取引プロセスの丁寧な案内など、安心感と信頼感を与えるコミュニケーションが成約の鍵となります。

BtoBとBtoCは利益率も管理コストもまったく異なります。

BtoBは1台あたりの利益が薄い分、まとめ買いによるオペレーション効率と在庫回転速度が利益を生みます。

一方BtoCは利益率が高い反面、問い合わせ対応・書類作成・クレーム処理が1件ずつ発生するため、担当者の工数が増大します。

事業規模・人員体制に合わせてどちらをメインにするかを明確に決め、中途半端にどちらもやろうとすると現場が疲弊します。

BtoB・BtoCの利益構造・リスクの比較については 中古車輸出の業者向け/BtoBと個人向け/BtoC販売を比較! も参考にしてください。

【法則4】失敗を回避するための「リスク管理」

中古車輸出ビジネスには、一般的な物販とは異なる特有のリスクが存在します。
代金の未回収や輸送中のトラブル、各国の法改正など、一つのミスが大きな損失につながる可能性があります。

これらのリスクを事前に想定し、対策を講じておくことが、ビジネスを長期的に継続させるためには不可欠です。

「実際に起きた失敗事例から学ぶ」という視点は非常に有効です。

具体的な失敗パターンについては 中古車輸出で実際にあった失敗事例|致命的トラブルを回避 で詳しく解説しています。

代金未回収リスクを防ぐ安全な決済方法の選び方

海外取引で最も警戒すべきリスクの一つが、代金の未回収です。
このリスクを回避するため、中古車輸出ビジネスでは船積み前に代金の全額を送金してもらう「前払い(T/T送金)」が基本となります。
バイヤーとの信頼関係が構築できていない初期段階では、この方法を徹底することが重要です。

高額な取引や、相手国の情勢が不安定な場合には、銀行が支払いを保証する「信用状(L/C)」を利用することもありますが、手数料が高く手続きが複雑なため、取引額や相手との関係性を考慮して慎重に選択する必要があります。

前払いが基本とはいえ、「信頼できるバイヤーだから後払いにした」結果、数百万円の未回収が発生するケースは珍しくありません。

取引実績が5件以上になるまでは前払いを貫き、その後も部分前払いからスタートする段階的な信頼構築が現実的なリスク管理です。

バイヤーが「前払いなんて信頼していないのか」と言ってくる場合は、むしろ警戒すべきサインの一つです。

輸送中の事故や盗難に備える貨物海上保険の重要性

車両を船で輸送する際には、荒天による船体の揺れでの損傷、クレーン作業中の落下、港での盗難、さらには船の沈没といった様々なリスクが伴います。
万が一、このような事故が発生した場合、保険に加入していなければ仕入れた車両の代金がすべて損失となってしまいます。
こうした事態に備え、貨物海上保険への加入は必須です。

保険料はコストになりますが、事業を守るための重要な経費と捉え、輸出するすべての車両に対して適切な保険を手配することが、安定した事業運営につながります。

貨物海上保険には「全危険担保(All Risks)」と「分損不担保(FPA)」などの種類があります。

中古車輸出では、荷役中の傷・汚損も補償されるAll Risksを選ぶのが一般的です。

保険料の目安は車両価格の0.3〜0.8%程度が多く、200万円の車両なら6,000〜16,000円程度。

コストを惜しんで保険を省いた結果、1件の事故で数百万円を失うリスクは割に合いません。

頻繁に変更される各国の規制情報を継続的に収集する体制づくり

各国の輸入規制や関税に関する法律は、現地の経済政策や環境問題への対応などによって、予告なく変更されることがあります。
昨日まで輸出できていた年式の車が、今日から輸入禁止になるという事態も起こり得ます。
このような変更を知らずに車両を仕入れてしまうと、大きな損失につながります。
最新の情報をいかにキャッチアップできるかということが非常に重要となるため、
現地のバイヤーや船会社、JETRO(日本貿易振興機構)など、複数の情報源から常に最新の情報を入手できる体制を構築し、法改正の動向を注視し続けることが、リスク回避の鍵となります。

情報収集の体制として有効なのは、(1)主要輸出先国ごとに現地バイヤー1名と定期的に情報共有する関係を作る、(2)JETROのメールマガジンや自動車輸出に関するレポートを定期購読する、(3)船会社・フォワーダーに「規制変更があれば即連絡をもらう」と依頼しておくという3点セットです。

これを月1回以上実施するだけで、規制変更による損失リスクは大幅に低減できます。

中古車輸出営業に関するよくある質問

中古車輸出営業で失敗しないために重要な情報収集のポイントは?中古車輸出営業で安定した成果を出すためには、各国の輸入規制や市場動向といった「最新情報」を正確に把握し続けることが不可欠です。

特に輸入規制(年式制限・排気量・ハンドル規制など)は頻繁に変更されるため、誤った情報のまま仕入れや販売を行うと、通関不可や返送といった大きな損失につながります。

そのため、営業担当者は日常的に以下のような信頼性の高い情報源を活用することが重要です。

  • JETRO(日本貿易振興機構):各国の輸入規制や市場情報を網羅的に確認可能
  • 現地バイヤーやパートナー:リアルタイムの市場ニーズや規制変更の情報
  • 船会社・通関業者:輸送・通関に関する実務的な最新情報

これらの情報を組み合わせて判断することで、リスクを最小限に抑えながら適切な仕入れ・販売判断が可能になります。

情報収集は単なる補助業務ではなく、「営業成果を左右するコアスキル」であるという認識を持つことが重要です。

よくある失敗として「バイヤーから教えてもらった規制情報をそのまま信じた」というケースがあります。

現地バイヤーも規制変更を把握していないことがあり、公的機関の一次情報との照合が必須です。

JETROの海外規制情報は JETRO公式サイト から無料で参照できます。

中古車輸出における資金繰りで特に注意すべきポイントは?

中古車輸出ビジネスでは、車両の仕入れから代金回収までに時間差が生じるため、資金繰りの管理が極めて重要です。特に、消費税還付のタイミングを正しく理解しておくことが、キャッシュフロー安定の鍵となります。

輸出取引は消費税が免除されるため、仕入れ時に支払った消費税は後日還付されますが、申請から入金までには一定期間を要します。

そのため、還付金を前提とした資金計画を立てることが不可欠です。

制度の詳細や申請要件については、国税庁の公式情報を確認し、正確な手続きを行うことが重要です。

資金繰りは利益管理と直結するため、単なる経理業務ではなく、営業活動と一体で捉えるべき重要な要素といえます。

消費税還付の詳細な申請手順については 国税庁の輸出免税に関するページ を参照してください。

また、仕入れから販売・回収までの収支シミュレーションについては 中古車輸出の利益計算|仕入れから販売までの収支シミュレーションと利益率 が参考になります。

中古車輸出の取引でトラブルを防ぐために重要な実務ポイントは?

中古車輸出では、船荷証券(B/L)やインボイスなどの貿易書類の正確な作成が、トラブル防止の重要なポイントとなります。書類の記載ミスや情報の不一致は、通関遅延や輸入拒否といった重大な問題につながる可能性があります。

また、国ごとに異なる輸入規制や通関要件を事前に確認しておくことも不可欠です。これらの情報は、JETROなどの公的機関や、実務に精通した通関業者から取得することが推奨されます。

営業担当者がこうした実務知識を理解し、ミスなく対応できる体制を構築することで、取引先からの信頼向上にもつながります。

まとめ

中古車輸出営業で成功するためには、一般的な海外営業のスキルに加えて、ビジネスモデルの特殊性を深く理解することが不可欠です。
オートオークションでの仕入れの技術、消費税還付を組み込んだ資金繰りの知識、そして各国の規制に対応する実務能力とリスク管理が成功の法則といえます。
これらの要素は相互に関連しており、一つでも欠けると事業の安定性は揺らぎます。

本記事で解説した4つの法則を実践し、堅実な事業基盤を構築してください。

仕入れ・資金繰り・リスク管理のいずれも、「知識として知っている」と「実際に体系化できている」は別物です。特に参入初期は、経験者のアドバイスや外部プラットフォームの活用が、最初の失敗コストを大きく下げる選択肢になります。

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「国内では売れ残っていたSUVが、アフリカ向けに即決した」というケースは実際の掲載店から多数寄せられています。

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